2009-10

外側のシミ、内側のシミ

コーヒーメーカーのガラスの器にシミがついていたので、
スポンジで外側をこすったけれど、落ちなかった。
「なんだ、内側か」と思って、内側をこすったけど、やはり落ちない。
外側をこすっても内側をこすっても落ちないシミ。なんだかヘンな気分。
外側でも内側でもない、もうひとつの側があるんだろうか?
と一瞬、真剣に考えてしまった。

でもまあ、コーヒーは無事に入りました。

さて、今ひとつピリッとしない時、なんだかツイてない時、何やってもうまくいかない時など、
「これを読めば元気になる」という、ドリンク剤みたいなビタミン本、ありませんか?
音楽とか映画だっていう人もいるのでしょうね、僕の場合、いくつかの本です。

時期によって、いろいろ。かつては村上龍『コックサッカーブルース』の冒頭だったり、
吉田知子というあまり有名でない作家の『お供え』という短編集であったりしました。
あるいは、マルケスの『百年の孤独』のお気に入りの場面であったり、
はたまた『20世紀少年』の第1巻であったり、大江健三郎の初期の短編であったり、
原のハードボイルド小説であったり、トミー・ウンゲラーの童話であったりもしました。
かなりいろいろですなあ。

なにを隠そう僕は、典型的な「引越し貧乏」なのですが、
どこに引越そうとも、それらの本は、だいたいいつも手近な場所に置かれています。
最近のビタミン本は、ヨースタイン・ゴルデルの『サーカス団長の娘』。
どこでもいいからパッと開いて2、3ページ読むと、「よっしゃあ!!」という気になります。

『サーカス団長の娘』というのは、サーカス団長の娘の物語ではありません。
幼い頃から、いろいろな物語を生み出す天才的な能力を持ったペッテルという男が、
行き詰って書けなくなった作家に、その物語を売りながら生活する、という物語。
てことで、この本の中には、数多くの物語が登場します。
おかげで、これを読んでると、読んでる自分までもが、
ペッテルが生み出した物語の登場人物に過ぎないのではないか、
という錯覚さえ感じてしまいます。ホントだぜ。嘘だと思うなら、読んでみなされ。

自分が目の前の本を読んでいるのか、
それとも自分は、ペッテルの想像の中の存在なのか?

どっちが現実で、どっちが物語?
その境界線は、意外と曖昧なものなのかも。

そんな不思議な気分にさせてくれる本が、最近のビタミン本。

まるで、外側と内側のどちらをこすっても落ちないシミのよう。
……と、冒頭の話題にむりやりつないでみた。

みんなのビタミン本は、何ですか?

*関係ないけど、かつて飼っていた黒い猫が、ビタミンという名前でした。
 黒猫ビタミンを思い出して、ちょっと切ない気分だよ。




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