2013-09

9マイルは本当に遠いのか?

病院仕事と久しぶりの原稿仕事で忙しくて、
ブログをさぼってました。

仕事の合間には、今まで何度も読み返してる
ある人の演劇論の本を何度目かに読み返して、
もうすぐ始まる稽古のことを考えてみたり。

手術室で働いてる仲間のひとりに、突然、
「今村さんがうらやましいですよ、
人生打ち込めるだけの好きなことがあって」
みたいなことをポツリと言われた。

そんな彼は、まだ20代、結婚したばかり。
気がつけばぼくは自分の生活を守ってるだけなんです、
と彼は言う。苦笑いしながら。

いや、それはそれでステキなことさ。

でも確かに、
人生打ち込めるだけの好きなこと、
そんな、こっぱずかしい言葉で説明できるものを、
ぼくは、いつも探してたな。

それがなきゃ生きてる実感がない、という、
これはもう一種の強迫観念。

ああ、こっぱずかしい、
生きてることは、こっぱずかしいよね。
ま、いいさ、また今度も骨身を削ろう。
削る骨身があるうちは。

さて、芝居の稽古を始めるとき、
いつも「言葉」のことを考えるわけですが、
なんというか、へんな符合のように、
新宿のブックファーストでは今さらのように
『9マイルは遠すぎる』を平積みにして宣伝してます。

なぜ? 今になって、なぜ?

これ、知る人ぞ知るミステリーの古典的名作
……と言われてる。作者はハリイ・ケメルマン。

どこぞの酒場で、知らない誰かが口にした
「9マイルは遠すぎる、まして雨の中ではなおさらだ」
という言葉を耳にした某教授が、
たったこれだけの言葉から、
前夜起こった殺人事件を解き明かす、という話。

言葉が、というか、セリフが、
人間の頭の中でいろいろな角度で光を当てられ、
思いがけない側面を見せる、ということの、
まるで見本のような小説です。

……と言っていいのかね。
なんだか屁理屈の羅列にも見えるけど、
そして、「ああ、こういう面倒な人いるよね」
なんてこと言いたくなるけど。そんな小説。

でも、ひとつのセリフが、
じつはいろいろな顔を持つ、
いろいろな展開がひそんでいる、
そんなことを暗示してるようで、そこは面白い。

ブックファーストで平積みになってるこの小説を見て、
「ああ、そうか」と思った。よいタイミング。
ありがとうブックファースト。

それにしても、なぜ今さら?
それだけは謎だ。その謎は解けない。















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