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2019-03

仕事サボって映画を観てしまった

昼過ぎに仕事をひとつ送信したら、なんだか後が続かなくなって、
仕事をサボってマイケル・チミノ監督『ディアハンター』を観てしまいました。

なぜか今までずっと縁がなくて観てなかったのですが、
思ってた以上に揺さぶられてしまい、こうして今ブログ書いてます。
1978年の映画で「親愛なる狩人」ではなくて「鹿撃ち」のほうです。

映画紹介ふうにまとめれば、ピッツバーグの製鉄所で働く5人の若者の群像劇。
そのうち3人が徴兵されてベトナム戦争に行くという前夜から始まり、
戦場での話、戦争からの帰国、というふうに物語が流れます。
「反戦」とか「友情」とか、そんな言葉で語られるべき映画なのですが、
それだけでは済まされない、もっと深い人間の「生と死」が描かれています。

5人は鹿狩りが大好きで、ベトナムに行く前日も鹿狩りを楽しんだ。
猟銃で鹿を狙い、一発で仕留めるハンター。

しかし数日後、戦場で彼らは敵の銃で狙われて、
いつ死ぬかわからない恐怖を味わう。
つまり、彼ら自身が「鹿」になっている。
たった一発で生と死が入れ替わる、その現実。

この映画が公開されたとき「ロシアンルーレット」が話題になりました。
ベトナム兵が、捕まえた米兵ふたりを使ってゲームをするという話。
ふたりの間に一発だけ弾をこめたピストルを置き、
順番に自分の頭に押し当てたまま引き金をひかせる。
自分の頭をぶち抜いて死ぬのはどちらかを賭けるベトナム兵。

戦場での狂ったゲームで、捕虜の米兵は次々と死んでいきます。
そんなゲームを通して、生と死が、さらにあからさまになっていき、
兵士たちは、少しずつ狂っていく。

このゲームのことが後々まで尾を引くのですが、
そのストーリー展開がすごかったです。よくこんな話を考えたなあという感じ。
そしてタイトルが『ディアハンター』でなければならない理由も。

彼ら5人はロシア系の移民で、冒頭の結婚式もロシア正教の教会で。
そのことも物語に影を落としています。
ベトナム戦争は米ソの代理戦争。その戦争に彼らはアメリカ人として赴く。

この結婚式の場面が長すぎると文句を言う人もいるらしいですが、
あとで考えると、この場面にはいろんな伏線があった。
それがなくても『ゴッドファーザー』の結婚式の場面に匹敵するくらい、
見事な場面だと思います。幸福と、確実に忍び寄る不幸。

そしてベトナム帰還兵の狂気、周囲の目線。
ひところアメリカのミステリーでは、「犯人=ベトナム帰還兵」が流行した。
ある時代の映画など見ると、よく「あんたベトナムへは?」「行ったさ」
みたいな会話が交わされていた。そんな時代。

ベトナム戦争というアメリカ史上最大の汚点は、
いろんなところに重いものを残しました。

じつは「戦場のロシアンルーレット」は監督の創作で、
実際にはそんなことは行われていなかったという話もあります。

ただ、以前読んだ生井英孝『ジャングルクルーズにうってつけの日』という、
ベトナム戦争を扱ったノンフィクションでは、
「どこに弾が当たるか」を賭けながらベトナム兵を狙い撃ちする、
そんな米兵たちが実際にいたという話が載っていました。
あの狂った戦争では、それに似たようなことは
いろいろ行われていたのかもしれません。

鹿狩りの場面が2回あるのですが、
このシーンが、じつはとても象徴的で、このシーンがあるからこそ、
この映画は、これほどにも神々しくなってるのだと思います。

3時間の映画ですが、じっと見入ってしまいました。仕事忘れて(笑

ちなみに、5人の若者のうち3人はロバート・デ・ニーロ、
クリストファー・ウォーケン、そしてジョン・カザール。
そう、あの『狼たちの午後』の犯人役の人です!

そして、無名時代の若きメリル・ストリープも。
これが彼女の映画デビュー。

さらにこの映画は、この年のオスカー受賞作だそうです。
マイケル・チミノ監督には『天国の門』という、これまた長い映画があるけど、
これもほんとに面白かった。大コケしたらしいけど。

さあ、観たくなりましたか?
なったでしょう。これ読んだら、レンタル店に走りますよね?
古い映画です。気をつけて。

さて、仕事の遅れを取り返したほうがいいかな。
その前に、晩御飯にします。







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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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