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2019-03

走るためには走る理由が必要だということ

昨夜は映画の『わたしを離さないで』を観ていたのですが、
これがとても良い映画で、観終わってから少し動揺してしまい、
いや、何の動揺かわからないのですが、
でも、この映画のことは、いずれまたゆっくり書きます。おすすめです。

さて、昨日の続き。ふだんは自伝だの伝記だの読まないのですが、
珍しく草間彌生の自伝を読んで、いろいろ思い返しました。

描きたいという衝動に素直に突き動かされ、
自分の信じる道をズンズン生きてるように見える草間彌生ですが、
その根本にあったのは、
「自分は望まれないのに生まれてきてしまった」という思いや、
そこから芽生えた「性」への拒絶意識や、
親に対する拒否感や、そういうものがあって、
すべての行動は「そこから逃げ出したい」という思いから始まった、
そのことに、「生きる」とは何なのだろうという思いに駆られます。

無我夢中で走っている人の姿を見て、
「ああ、何かに向かって突っ走ってる姿はすばらしい」と思いがちですが、
もしかしたらその人は、無我夢中で走っているように見えて、
本当は「必死で何かから逃げている」だけかもしれない。
一瞬を切り取れば、見た目は同じだから、区別がつかないけど。

たとえば草間彌生の人生をはたから見てると、
自分の芸術の信念のままに、わき目もふらずに突き進んでるように見える。

でも、その過程は、言い換えれば、自分が生まれてきたことや、
自分が育てられた環境、自分の人間としての原点の場所から、
少しでも遠くへ遠くへ遠くへ逃げ去りたい、遠ざかりたい、
その衝動の結果なのかもしれない。

そんなふうに考えると、逆説的な思いが浮かんできます。
つまり、極端な言い方をすれば、
「自分の生を否定することによって、自分の生を実感する」みたいな。
そういう「生の確認の仕方」があるのだ、ということを思いました。

いいように解釈すれば、
「自分を否定」することは、一見、不毛で後ろ向きに思える。
でも、それをひとつのエネルギーに変換すれば、
自分だけの、前向きな生の形を生み出すこともできる。

「否定の力」を「肯定の力」に変換する。
ああ、そういうやり方もあるのか。
みたいなことを、昨夜、草間彌生自伝を読みながら考えてました。
で、自分には、そういう力が欠けているのだろうか、とも。


草間彌生の人生と自分のことを比べるなんて、おこがましいのですが、
ちょっと自分のことと重ねたりしました。

ぼくが生まれた家には家業があって、
長男のぼくは、父の後を継ぐのが当たり前だと思われて育ちました。
しかしぼくはどうしてもその家業がイヤで、
跡継ぎになることを断固拒否して東京で進学しました。

その時、「家業を継ぐことを断固拒否したのだから、
東京で『これがぼくの人生です』というものを見つけて、親に示さなければ」
そんな思いというか、義務感がありました。
それがぼくの東京での学生生活を支えていたようなものです。

ところが、ぼくが大学を卒業する前に、両親ともに亡くなりました。
つまり、ぼくが大学を出て、どんな仕事について、どんな人生を送ろうが、
それを気にかける人はいなくなったのです。

実際、ぼくが大学卒業後どんな就職をしたかを尋ねる人は、
だれもいませんでした。


ぼくが逃げてきた場所、離れたくてたまらなかった場所が、
両親の死によって消えてしまい、
「どう生きようとお前の勝手だ」と言われたような気分。

それはそれで気楽なのだけど、しかし同時に、
自分の人生の「重し」のようなものがなくなった。そんな気分でもあった。
勝手な言い分ですが、「つなぎとめておくもの」が無くなるというのは、
なんだか、かえって居心地が悪いというか、みょーな感じでした。

そんなわけだから、また新たに、
自分を生かすエネルギーのようなもの、推進力になるもの、
それを探さなければならなかった。

ひとつにはそれが結婚だったのですが、でも離婚した(笑)。
その後、ぼくは、何をエネルギーにして走っていたのだろう。
今さらですが、そんなことを考えてしまいます。

草間彌生の自伝を読みながら、そんなふうに自分のことを
振り返っていました。
どんな人にも、きっと、前に前に進ませる「何か」が必要。
それは何なのか、あらためて考える。そういう時期かも。


さてさて、今夜は何の映画を観ようかな。
最近、アタリが続いてて、映画を観るのが楽しい。
そして、明日こそ髪を切りに行こう。













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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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