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2019-04

気持ちいいほうがいいなんて誰が言った?

図書館の本の返却日だったのを思い出して、
昨日は朝から図書館へ行って、なんとなく子供の本のコーナーへ。
久しぶりに『ズッコケ3人組』を借りてずっと読んでました。
お話がすごくよく出来ていて永遠のベストセラーなのも納得。

子供のために作られた本て、たまに読み返すと思うのだけど、
けっして「童心にかえる」なんて不要で、
おとなの心のままで向き合ったほうがいいですよね。
童心にかえって読むと、自分の中の「童心の部分」しか反応しない。

しかし、おとなの心、今のままの自分で向き合うことで、
今の自分のことや、かつて子供だった頃の自分のことが、わかる。
そのほうが面白い。

先日、NHKで立川談志について語り合う番組をやっていたのですが、
立川談志は子供と話すときに、しゃがんで視線の高さを合わせる、
なんてことを絶対にしなかった。立ったまま子供を見下ろして会話した。

今はなんとなく「子供の目線の高さになる」ことが良いこととされていて、
しゃがんで会話するのが良いおとな、そう思われがちな世の中ですが、
談志はそれを嫌った。あくまでも「おとなと子供」の関係で向き合った。
なるほど、一理ありますな。

児童書や絵本を読むときも、わざわざ「童心にかえる」なんてしなくていい、
おとなの自分のままで向き合うほうが面白さが何倍も広がる。
そう思います。

種村弘『ぼくの宝物絵本』という文庫本は、珠玉の絵本たちを紹介した、
とても刺激的で面白い本なのですが(紹介の仕方が、とても楽しい)、
この本の面白さも、あくまでも「おとな目線」に徹しているから。
『ズッコケ3人組』も、子供の読み物にしておくのはもったいないですよ。

そんなわけで昨日は読書の日だったので、
『ズッコケ3人組』から『建築家安藤忠雄』へ。
先日ここに安藤忠雄のこと書きましたが、
あのあとコンコ堂でたまたまこの人の自伝を発見したのです。
しかも写真は荒木経惟です。

建築のことはよく知らないのですが、この人の人柄や考え方に興味が。
とても挑発的というか戦闘的というか、そんな考え方で設計をする、
そのことをもっと詳しく知りたかった。

自分の建築は「都市に抗うゲリラ」と書く人の建築論て、面白そう。
この人が設計した住宅は、住むのも大変だと聞きました(笑)。
「住まうとは、ときに厳しいものだ。
私に設計を頼んだ以上、あなたも闘って住みこなす覚悟をしてほしい」
そんなこと断言する建築家です。

読みながら何となく思うのですが、建築に限らず、
現代社会というのは「人間にとって心地よいもの、気持ちのいいもの」
それがベストだという考え方が当たり前になってる。

車でも食べ物でも衣類でも、そして映画や芝居や本や音楽も、
「心地よい」という価値観こそが「人間の求めている究極のもの」みたいな。
心理学者岸田秀の本に「文明社会における『美味しい』は『甘い』と同義語」
みたいなこと書かれていたけど、もしかして、そういうことかも。

しかし、果たして本当にそうなんだろうか。
心地悪いとか、不便とか、難解とか、不味いとか、面倒くさいとか、
そういうマイナスの価値観にだって、何らかの快楽というか、
人間の生理的な部分を刺激するものがあって、それもまた人間には必要なもの。

というか、人間にとって一見マイナスに見えるものの中にこそ、
じつは人間の本質的な欲求がひそんでいて、
それこそが「人間らしさ」であったりする、そうも言えるのではなかろうか。
……なんてことを、安藤忠雄の本を読みながら感じます。

あ、べつに安藤忠雄がわざと住みにくい家を作ってるってわけじゃないですよ。
さらにその奥に続く思想があるのだと思いますが、
そこはまだ、ぼくが読み取れてないのです。

ただ、「抗う」ということが基盤にある建築の思想に、
なんだか面白いカギがひそんでいる気がするのです。
気持ちいい、心地よい、そんなものがもてはやされる現代社会はくそくらえ。
そんな気持ちになってくる本です。

よし、お湯が沸いたのでコーヒー淹れます。








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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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