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2019-04

中杉通りと終戦直後のウィーンが重なる

この部屋のドアをあけると通路があって、そのわきに溝があって、
そこに雨水が少し溜まってて、どこからか吹き寄せられた桜の花びらが、
何枚も何枚も浮かんでいるのが、まるで桜模様の蛇のように見える。
薄暗いせいで、桜のようなウロコを見せて蛇が横たわっているように。

最初に就職した出版社は水道橋で、次の会社は市ヶ谷で、
ずっとお濠沿いの電車で通勤していたのですが、
お濠には春になると桜の花びらがたっぷり浮いていて、
それを見るたびに、東京都心を桜模様の蛇がグルリと取り巻いているような、
そんな姿を想像していました。

明日はすごく寒いそうですが、どうなるんでしょうかね。
何が?って感じですけど、ほんとにどうなるんだろう。

夕方、キャロル・リード監督『第三の男』を観たら、
終わってから、なんだかすごくそわそわして落ち着かなくなりました。
いいものを観たあとは、そわそわしてしまいます。なぜか。

終戦直後のウィーンを舞台にした、
ある男の死をめぐるダークでノスタルジックなミステリー。

この映画、20代の頃に観たときは「ふうん」て感じでピンとこなかったけど、
久しぶりに観直してみたら、なんかもう「ああ、名画」って感じがムンムン。
この年齢にして、やっと、これが永遠の名作と言われる理由がわかりました。

どの場面も、すべてにおいて隙が無いというのか、
映像で人の心情を表現するというのか、
映像そのものが人間の心の陰影を伝えてくれるとは、こういうこと。
ようやく、何かが腑に落ちた。

20代の頃に観て、あんまり響かなかった映画でも本でも何でも、
ある程度の年月を経て、もう一度向き合うって、とても大切だと思います。

キャロル・リード監督と書きましたが、
脚本を書いてるのは、あのグレアム・グリーン。
この人の小説の面白さも、正直なところ今ひとつピンとこないのですが、
こういう映画を観ると、あらためて読んでみたくなります。

ともかく『第三の男』のあとは、へんにそわそわして、
駅周辺あたりを、やみくもに歩き回ったりしたのですが、
コンコ堂は今日は火曜日で定休日。ソワレもいない。

中杉通りの並木道を見ると、
『第三の男』の有名なラストシーンを思い出してしまいます。
確か、手塚治虫の『火の鳥』にも、あの場面の引用がありました。

さて、少し落ち着こう(笑)。
今夜は暖かくして寝たほうがいいのだろうか。








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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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