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2019-02

ある小説、ある映画

久しぶりにラッタウット・ラープチャルーンサップの
『観光』を読み返しています。
この名前からもわかるように、タイの作家です。

ぼくのお気に入りの短編集のひとつ。
表題作の「観光」は、何度も読みました。

タイという国の社会、世界的地位、経済状況など、
当然のことながらタイという国家が小説の背景にあります。
なんかもう今さらこんなこと言うのもなんなのですが、
「人間を描く」という行為は、どこかで「その社会を描く」
という行為に重なっているのだと、再認識します。

とくにこの短編集からは、タイという国家が抱く
プライドとコンプレックスを痛いほど感じます。

そんなことを思っていたら、昨夜たまたま
『最強のふたり』という映画をDVDで観ました。

この「あちゃー」という感じの邦題はいただけないのですが、
映画そのものは、とてもいい作品でした。

ある事故により首から下がマヒして動かない大富豪と、
社会の底辺で貧乏生活している黒人青年の物語。

車椅子生活している大富豪の介護役として雇われた黒人青年が、
硬直しきった生活を送る大富豪の人生観を少しずつ変えていく…

大富豪のセリフの中に「何もなければ自分はこのまま70まで生きる」
というのがあります。「車椅子の上で麻痺したままで
70までも生きなければならない」という声なき絶望。
しかし、そんな彼を、黒人青年が少しずつ変えていきます。

この映画の原題はフランス語で「アンタッチャブル」をさす言葉。
つまり「本来ならば触れ合うことのないふたり」というような意味らしい。

ひとりは車椅子に乗った大富豪、
もうひとりは社会の最下層から這い上がることのできない青年、
出会うはずのないふたりが出会い、
まったく異なる人生観が触れ合って、そこに奇跡が起こる。

ここでも「人間を描く」ことと「社会を描く」こととが、
美しく重なっています。見事な物語でした。
ちなみに、実話に基づいて作られているそうです。

人間が社会を作り、社会が人間を作る、
その相互の関係のどこかに、類稀なる物語がひそんでいます。

そんなことを、今日はぼんやり考えていました。

『観光』も『最強のふたり』も、よかったら、ぜひ。

さて、シアターノーチラスのHPも更新されました。
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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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