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2019-05

少年Aの本のこと

早起きして脚本の続きを書こうと思っていたのに、
なんだか眠れなくなってしまい、PCに向かっています。

眠れなくなったのは理由があります。
少年Aの本のことを考えていたからです。
読んだわけではないです。

出版されたことへの社会的な非難のこと、
非難する人の気持ちはわかります。しかし、
どちらかといえば、ぼくは「出版してもいい」派です。
いや、もっと積極的に「出版されるべき」派かも知れません。

出版を非難する意見の多くは、被害者の感情を理由に挙げています。
それはよくわかります。しかしそれは、突き詰めれば、
被害者への「同情」でしかないような気がします。
もちろん、それはそれで大事なことです。

しかし、少年Aの本を読んだ人によると、
人間として真摯に事件を見つめ、自分を見つめ、
おそらく今現在、社会からほとんど抹殺されながら生きている彼が、
必死になって自己を確立させようとしてる、その記録のようです。
少なくとも、ただの謝罪や後悔だけに満ちた本ではないようです。
であるとすれば、やはり、これは出版されるべき本ではないかと思います。

事件当時、被害者家族も含め多くの人々が、犯人に対し、
「なぜあんな事件を起こしたのか、全部明かして欲しい」
と希望していました。当然のことだと思います。

そして、今回出版された本は、まさに、
それに対する答えのひとつではないかと思うのです。
事件から長い年月を経て、答えのひとつが提示されたわけです。
もちろんこれが答えのすべてではなく、まだまだ続くのだろうけど。

被害者家族のうち、Hさんのほうは出版差し止めなどの措置をとり
断固とした「反対・非難」の姿勢を貫いているようです。
一方、もうひとつの被害者家族Yさんのほうは、
出版されることが事前に自分たちに知らされなかったことには怒りながらも
出版そのものに反対する気持ちはないようです。
そして何のための出版か、その動機を少年Aに問いたい、と言っています。

ぼくは、このYさんのコメントを読んで、なんだかとても納得しました。
そして、あの少年Aもまた、ひとりの人間であるという当然の事実を思いました。

おそらく、あの事件は、今もまだ続いています。
今、30歳を超えた少年Aが自分を冷静に綴った本が出版される、
このことも含めて、あの事件はまだ進行中なのでしょう。

あの事件を起こした人間が、時間を経て、何を考え、何を書き、何を社会に表明するのか、
それも全部ひっくるめて、あの事件は今も続いているのだと思います。
だから、社会は、あの本の出版を拒否してはならないと思います。

本の出版に抗議する被害者家族や、ほかの人々が大勢いるという事実も含めて、
これらすべてが「少年Aの事件」なのだと思います。

じつは、眠れなくなった理由のひとつには、
「この本の販売を拒否する本屋もある」というニュースを読んだのもあります。

「出版」という事業が、つねに人間の本質と向き合うものだとすれば、
少年Aの本を出版した出版社は非難されるべきではない。
そして、本屋がそれを販売することを拒否するなんて、
絶対にあってはならない、そう思います。

書き留めておこうと思い、
こんな時間にPC立ち上げました。
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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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