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2019-02

平行読書

病院仕事は早番なので早起きします。
朝5時半には自転車を漕いでるわけですが、
今の時期、この時間すでにむちゃくちゃ寒いのを知ってますか。
「もうすっかり秋だねえ」なんて言ってる人もいますが、
朝5時半の空気は、もうすっかり晩秋の冷たさです。
ほんとです。

電車の中で最近読んでるのは、
村上龍の『愛と幻想のファシズム』。
それだけでなく、半藤利一と宮部みゆきが
昭和史について語る対談集を買ったので平行して読書。

昭和金融恐慌や2・26事件と並んで、
金閣寺の放火事件やビキニ環礁での水爆実験などについて、
なかなか面白い話が出てきます。

ところが、この本を『愛と幻想のファシズム』と平行して読んでると、
すごく奇妙な錯覚のような気分になるのです。

『愛と幻想のファシズム』は
弱者は死に、強者だけが生き残る権利がある、
というイデオロギーを持つカリスマの物語ですが、
彼の思想の、その根底にあるのは、
「弱肉強食という、生物にとってごく自然な摂理」を
人間がいつの間にか捨ててしまった、という考え方。

そしてさらに、そんな人間を支配しているのが、
「経済」という原理であり、そこに悲劇がある、
という発想が、主人公をファシズムに駆り立てます。
(いや、これからどう展開するのか知らないけど、
今までのところは、そんな感じ)

で、それが、さっきの半藤利一と宮部みゆきの対談と、
頭の中でリンクし、交錯しています。

大陸に野望を抱き、アジアの覇者になろうとした日本が、
やがて太平洋戦争を起こし、敗れ、それでも経済大国になり、
そしてその中からさまざまな悲劇を生み出し、
やがて今度は経済的に失速して昭和という時代が終わる……
という日本人の歴史の展開、歴史の原動力となった「経済」、
それが『愛と幻想のファシズム』の主人公の発想と、どこかで重なる。

村上龍の世界観・歴史観て、ある意味すごくリアルだなあと思ったり、
いや、人間というものはつねに同じことを繰り返しているのだと思ったり、
人間の悲劇は、つねに「経済の奴隷」である人間の悲劇なのだと思ったり。

なんかもう、ふたつの本、片方は完全なフィクション、
もう片方は昭和について語られる、いわばノンフィクション、
そのどちらが本当の現実なのか、よくわからないような、
いや、それは言い過ぎだけど、なんだかおかしな気分です。

きっと「対談集」のおかげで、『愛と幻想のファシズム』のリアリズムが、
20倍くらい濃厚になってるはず。お得です。オススメです。





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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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