2017-10

「リリー」と「とくえ」、2本の映画

仕事の打ち合わせが思いのほか早く終わって、
気の抜けた感じで帰宅しました。
まあ、久しぶりに会えた人ということで、満足。
なんのかんのと、たくさん笑ったし。

で、急いで帰ってブログを書こうと、電車の中で考えていました。
書きたかったのは、『あん』のことです。
DVDで観たのですが、珍しく同じ映画を2回続けて観ました。
それくらい、何かがフッと心の中に、体の中に、落ちてくるような映画でした。

おおげさな言葉で書くと、なんだか嘘っぽくなりそうなので、
「2回続けて観た」ということで察してください。

らい病だとか差別だとか、この映画を語る言葉はいくつかあると思います。
でも、そういうのとは別にして、なんていうか、ただもう、
「あるがままをそのまま受け止めて、ただ生きる」ということが、
静かに静かに語られている映画です。

特定の病気に対するあからさまな差別の場面は出てきません。
しかし、現代における差別とは、そういう目立たない形で存在するのでしょう。
だから怖い、だから突き刺さってくる。

でも、当事者たちは、ただ現実を受け入れて、
ただ自分に与えられた生を、そのまま素直に生きる。
「生きる」ということはどういうことなのか、それが、言葉や理屈ではなく、
スッと形の無いものとして降りてくるような気分でした。

観ながら気づいたことがあります。
どんな演出がつけられたのだろう?と思う場面がしばしば。
セリフはあるけど、まるで監督が、
「こんなような内容の会話してください、でも細かい演技はいいから、
ふだん自分がしゃべってるような感じで」とでも指示したかのような場面。

役者のセリフはかぶるし、その場で考えながらしゃべってるような感じだし。
どこまでが演技なんだろう。これがこの監督のやり方?
でも、それがすごく効果的。リアル、ナチュラル、あるがまま。
永瀬正敏と樹木希林、ふたりともボソボソしゃべる役者だから、なおさら、いい。
あと、中学生の女の子、彼女もボソボソ。
わざと、こういうボソボソしゃべる役者たちを集めたのかな。

あきらかに脚本どおりに会話し、きっちり演出つけられてる、
そんな場面もあるから、だから対比として目立っている。
あ、悪い意味ではないです、それがすごくいい。

永瀬正敏と樹木希林がすごくナチュラルにしゃべってるから、
後半に出てくる市原悦子が、すごく計算ずくの巧妙な演技してるように見える。
いや、これもべつに市原悦子を悪く言ってるわけじゃない。
これはこれで、味わい深いのです。
でも主役ふたりの、どこまでが演技かわからない、という感じが、
たまらなく魅力的に見えました。

まあ、そんなこともあって、『あん』は、思わず2回観てしまいました。
久しぶりだ、こんな気分。

先日は、『リリーのすべて』という映画を観ました。
性同一性障害を自覚し、世界で初めて性転換手術を受けた人の物語。
これもよかったのですが、ふと気づくと、
『あん』も『リリーのすべて』も、どちらも、
フィジカルな問題で社会的マイノリティの立場に置かれた人の話です。

現実とどう向き合い、どう生きていくか、
ふたつの映画の登場人物は、それぞれの手段で自分の生を直視します。

本当に「たまたま」な2本なのですが、
とても響いてくる2本でした。オススメですよ。







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