2017-10

プロキシマのニュース

ケン・リュウの『紙の動物園』からフィリップ・K・ディックの復刻本へと、
なんとなく最近はSFを読む比率が増えてます。
SFといってもバリバリのSFではないですが。

ふと思い出したのだけど、中学時代ぼくはどういうわけか、
早川書房のSFマガジンを毎月定期購読してました。
よく親が許してくれたものだと思います。

小学生のときにE・E・スミスの『銀河パトロール隊』に感動して
何回も読み返していたので、きっとその頃は、
「ぼくはすごくSFが好き」だと思い込んでいたんだろうな。

でも実際はSFマガジンを定期購読しながらも、
なけなしの小遣いで創元推理文庫を1番から順番に買って読んでいた。
読んだだけではなくて、何を考えていたんだか、創元推理文庫の編集部あてに、
読んだ推理小説の感想なんかを書いて送っていた。へんな中学生だったな。

その上、まだ創元推理文庫に入ってない古典ミステリーを見つけると、
「ぜひ、ノックスの『陸橋殺人事件』を出してください」なんて葉書出したり。
まったく、よほどヒマな中学生だったんですねえ。

ちなみに、創元社の編集者はとても優しい人だったみたいで、
ときどきへんな葉書を送ってくる田舎の中学生に、
何度か新刊の文庫本をプレゼントしてくれたりしてました。

まあ、それくらいミステリーが好きだったのに、
なぜかSFマガジン(笑)。今思うと、不思議な思い出。

考えてみたら、ケリー・リンクもミルハウザーも、
SFというか、幻想小説というか、すごく曖昧でボンヤリしてますね、
あ、小説が、じゃなくて、ジャンルとしてですよ。
まあ、ジャンルなんてどうでもいいですけど。

でも最近、珍しくSFにジャンル分けされてる小説を読むので、
この機会に、あまたの古典的SFを読んでみるのもいいなとか思ってます。

とかなんとか書いてますが、
じつを言えば電車の中で読んでいるのは富岡多恵子の短編集。
SFや幻想小説とは対極にある、なまなましい現実、痛々しい現実。
昭和40年代から50年代にかけての日本社会の歪み、
豊かさの影に隠れてひっそり存在している貧困の闇を、
これでもかこれでもかというようなドライな文体で描く。
あー、いやだ、読みたくない、と思いながら、つい読んでしまう。

『遠い空』なんて短編を読むと、相模原で起こった大量殺人事件や、
今ちょうどメディアで騒がれている某女優の子息のことなどが、
なぜかボンヤリ浮かんできて、重なって、切なく、苦しくなる。
いや、これはこれ以上書くと、あまりよろしくないけども。

あー、いやだ、本当に読みたくない。でも、読まねば。
そんな義務感めいた感情でページをめくります。

へんなこと言うようですが、フィリップ・K・ディックを読んで、
富岡多恵子を読んで、超虚構と超現実との間を行ったり来たりしていると、
自分がどちら側にいるのかさえも曖昧になってきて、
すごく摩訶不思議な気分。体が透けてるみたいな。

……なんて思っていたら、昨日のニュース。
「地球からとても近いプロキシマ星系で地球によく似た環境の惑星発見!」
わずか4光年ですよ、宇宙船で旅すれば最速6年で到着するらしい。

いや、このニュースに驚いたのは、そこではなくて、
『パーマー・エルドリッチの3つの聖痕』に登場するパーマー・エルドリッチは、
プロキシマ星系から太陽系に帰還した人間なのだ、
わー、なんだ、この偶然!!! プロキシマーーーー!!!

虚構と現実は、いつも混沌として、
いつでも入れ替え可能なのですよ、きっと。




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