2017-10

解けない数学

お久しぶりです。
気がつくと朝5時半はもう薄暗くて寒いです。
季節は確実にひとつ巡ったようです。
早朝の電車の乗客も厚着になり、なんだか寡黙。
秋は、みんな無口になります。

秋深し隣りは何をする人ぞ
…という芭蕉の句を思い出したのは、
長いこと空室だった隣りの部屋に、人が入ったから。

男か女か、いくつくらいの人か、何も知らない隣人。
どんな人なのかまったく知らない隣人が、
わずか数メートルのところで生活している。
いや、場合によっては、壁一枚隔てて、
ほんの1メートルくらいの位置にいるかもしれない。
そんな位置関係がたくさん集まって成立している都会の生活。
そこには、無数の松尾芭蕉がいます(笑)。

そう言えば、昨日のニュースで見たけど、
ひとり暮らしの世帯がどんどん増えてるようですね。
しかも高齢者の独居世帯が急増しているらしい。

数字の0は、いくつ集まっても0であるように、
孤独というものは、いくつ集まっても、やはり孤独なのか。
それとも、孤独が集まれば、何か違うものになるのか。

東京というものが抱えた、永遠に解けない数学です。

最近、小川洋子の『ことり』という小説を読みました。
他者との会話を一切拒絶し、ただ、鳥の言葉だけを理解して鳥と話す男と、
その男の気持ちを理解することのできる、たったひとりの弟の物語。

といっても、小説のちょうど半分あたりで兄は死んでしまい、
物語の後半は、老いてひとり暮らしする弟の日常が描かれます。
兄は死んだけど、弟の生活にはつねに兄の死が影を落としている。
兄の死を抱えたまま、鳥と向き合い、ひとりで生きていく弟。

兄の孤独のDNAを受け継いだかのような弟の、
その不器用で孤独な日常が、なんだかひどくリアルでした。
ちょっと映画にしてみたくなるような話。
ラストシーンとかね。

そして、この小説にも、永遠に解けない数学を感じました。
解けない、解けない、解けない。
終わりのない宿題みたいに。
僕は、東京で、もう何年暮らしているのだろう。

はてさて、病院仕事は相変わらず忙しくて走り回ってばかり、
帰宅すれば図鑑の原稿がなかなか終わらず、
しかもどうやら風邪をひきかけているようで、
ハラハラそわそわな毎日。

そんな中で、ワークショップが近づいています。
それは今、唯一の楽しみ。
知らない人に出会うのが。こんなに幸せだなんて。
本当にそう思います。

どんな人であろうと、ワークショップに来る人は、
みんな間違いなく芝居が好きな人。
ただもうそれだけで、いい気分になれます。
なんて単純なんだ(笑)。

今は、芝居のこと、次の公演のことを考えるのが、
本当に本当に楽しみです。
すべての時間を、次の公演のために埋めたい。

ともかく、ワークショップで会える方、
よろしくお願いいたします。

「次」に向かって、もう動き始めてます。









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