2017-10

言葉が通じない、意思が伝わらない

NHKのSWITCHインタビューで、この前、
生命科学者の柳澤桂子さんとバリアフリー研究者の福島智さんが
対談していました。柳沢さんは若い頃から病気で寝たきり、
福島さんは幼い頃から目と耳が不自由。
そんなふたりが生命や心の不思議について語ります。

東京大学で教えている福島さんは、
「指点字」という独特の方法で人と会話をする。
あらかじめルールとして点字の6個の穴と指の6本を対応させておき、
通訳者がどの指を触れるかによって言葉を伝える。
この方法で福島さんは人と会話するし大学の講義も行います。

どんな人間でも、なんとかして人とコミュニケーションをとりたいと思ったら、
その手段は必ず存在するし、コミュニケーションは可能なのだ。
快活に「会話」する福島さんを見ていると、そう思います。

最近、人とコミュニケーションがとれなくて苦しんでいます。
長い付き合いの人なのだし、むしろ「ツーカーの仲」でもいいはずなのに、
言葉が通じない、意思の疎通ができない。
必ず、どちらかが誤解や勘違いをして、意味もなく怒ったり、
イライラしたり、過剰防衛したり、もうムチャクチャ。
その結果、会話は予想もしなかった方向に展開し、
イヤな感情とむなしい疲労だけが残る。その繰り返し。

なぜこうなるのだろう?と考えていて思ったのは、
あまりにもメールやLINEに頼りきってるからではないか?
顔を見て肉声で話すのではなく、スマホの画面でやりとりする。
そこに、行き違いや誤解が生まれる理由がある気がします。

相手から送られてきた文面をスマホの画面で読むとき、
自分の感じた読み方で読む。たとえば「怒ってる文面」とか、
「暗に何かを要求してる文面」とか「本当はイヤイヤ書いてる文面」とか……
いや、書いてる方の人間は、そんなことまったく思ってなくて、
ごくごく平常心でサラッと書いただけなのに、
読み手は、自分の先入観やその時の気分で読んでしまう。

もともとぼくは人の言葉を正しく読み取ることがヘタなので、
よくそういう誤りを犯します。
他人の言葉を曲解したり、勘違いしたりして、
過剰反応してしまうことで、信頼を失ったことが何度も何度もあります。

そんな「読み違い」をお互いに繰り返すから、
結局、伝えたいことは伝わらず、誤解が誤解を生みだし、
話は、不穏な空気に包まれ、険悪な関係になってしまう。
そんなことが積み重なり、ほとほと疲れ果てています。
相手の誤解に。自分の誤解に。

メールでもLINEでも、結局のところ、
それを書いた人間の気持ちではなくて、
「それを読む人の側に合わせて読まれてしまう」。
書いた側のものではなく、読んだ側のものになってしまう。

ネットというものが発達して、気軽に言葉を発信できるようになり、
人と人との関係が「密」になっているように見えます。
しかし、画面に言葉が並んだだけのコミュニケーションでは、
実際には誤解や勘違いが生まれることも珍しくなく、
じつはコミュニケーションなんてまったくとれていない、
……などということも、あるのではないかと思います。

「ネットが人間同士の距離を縮めた」なんて、じつは錯覚。思い込み。
ただそう見えるだけで、じつは全然近づいてない。
最近、つくづくそう思います。深く深く実感しています。
いやいやいや、何なんだろうな、この世界は。

そして今度の『孤独の観察』にも、そんなことが出てきます。
今のこんな時代だからこその「孤独」について考えながら作っています。
そんな物語です。

ちなみに、福島さんが「会話」のために利用している「指点字」という方法は、
「なんとかして息子とコミュニケーションとりたい」と考えた、
福島さんのお母さんが考案したものだそうです。

なんとかしてコミュニケーションとりたい!
人に伝えたい!
人から伝えられたい!

その単純素朴な望みを実際にかなえるのは本当に難しい時代。
なんとかしなきゃとジタバタもがいています。








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