2017-10

ひそかな快楽

公演前はいつも激しく金欠です。
今の仕事先のすぐ近くにMARUZENがあるのですが、
昼休みに立ち寄ると、ミルハウザーとか好きな作家の新刊が並んでいたり、
白水社のブックフェアやってたりして、なんだか悲しくなります。
ケン・リュウの新刊をぼくはいつになったら読めるのか?

そんな中でゴールディングの『蠅の王』の新訳版が出てるのを発見。
この小説は、もしかしたらぼくが群像劇を書きたいと思うようになった、
そのきっかけのひとつではないかと思う小説です。

いわゆる「孤島に取り残された少年たち」をテーマにした物語で、
「十五少年漂流記」などの亜流ですが、
しかしそこには「十五少年」のような希望や明るさはなく、
かなり悲劇的でペシミスティックな物語。
しかしそれがリアルで、いかにも「ありそう」な小説です。

舞台にするのは難しそうですが、でも舞台にしたくなる。
孤島というのが、なんだか演劇的でいいなあ。
そういえば、昔々、劇団青い鳥がやった『一日の楽天』は、
海辺の一日を描いたとても美しい芝居でしたが、
舞台上に砂が敷き詰められ、砂浜を作っていました。
まだ伊沢磨紀さんがいた頃の青い鳥です。

あんな感じで島のセットを作り、『蠅の王』を芝居にしたら、
ああ、面白いだろうなあ、などとMARUZENの店先で妄想する…

妄想世界で好きな小説を芝居にするのは、ひそかな快楽です。
僕の母親は病気で死ぬ前に病院のベッドで毎日、
大好きな井上靖の小説を映画化するという妄想に浸り、
それを僕に話してくれました。
『蒼き狼』や『しろばんば』を映画の場面に置き換えて面白がっていたけど、
その気持ちよくわかります。
僕もやっぱりお気に入りの小説は舞台化したくなる。頭の中で。

あ、話はまったく飛びますが、蜷川幸雄が亡くなって、
村上龍の『コインロッカーベイビーズ』を蜷川演出で舞台化するという企画も、
なくなってしまったんだなあ、残念だなあ、見たかったなあ。

さて、『孤独の観察』です。
やっと芝居の全体像が見えてきて、
残りの稽古がますます楽しみになってきました。
演劇的に今までのノーチラスがやらなかったことをいろいろやってます。

なんか新しい地平線が見えてくるような、
そんな公演になるといいな、そう思ってます。

孤独の観察、というタイトルの意味も……
それは、ぜひ、劇場で確かめてください。
チケットはお早目に。初日は7月12日です。







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