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2018-10

Twitterという曖昧なシステムのこと

本番まで2週間を切り、稽古場がピリピリしてきました。
役者さんたちが自己主張をするようになり、
演技や稽古について自分の思いを口にし始める。

あ、稽古場の空気が変わった、と思う瞬間は、とてもいいものです。
役者さんたちの素直な熱意がうまくぶつかり合うようになり、
毎回この2週間くらいで芝居が一気に「芝居」になっていく。
こちらも気が抜けなくて、1回1回の稽古がすごく疲れます。
でもその疲労感が「手ごたえ」なんだとも思います。

さて、そんなわけで今回の『月はゆっくり歩く』です。
この芝居にはTwitterが重要なアイテムとして登場します。
なので稽古中もTwitterのことをよく考えます。
数年前には存在しなかったこのシステムが、
今までに無かった、新しい「人とのつながり、出会い方」を生んだ。
それは一体どういうことなんだろう?

そんなこと思っているときに起こったのが座間の事件です。
あの事件でもTwitterが重大な役割を果たしたようです。
というか、Twitterというものが存在しなければ起こらなかった事件、
そうも言えると思います。

わずか数十文字の文章が、時間と空間を超えて、
本来は出会うはずのなかった人と人をつなぐ。
何が嘘で何が本当かが曖昧なままで、
なんとなく「出会った」気分になってしまう。

曖昧、すごくボンヤリした人間関係しか生まないはずなのに、
なぜか、そこに強固な何かがあるかのように勘違いしてしまう。
Twitterというのは、そういう意味では、
いろいろな「勘違いを生み出す装置」のような気がします。

……というのは、じつは古い考え方なんだろうか。
それは、まだネットさえもなかった時代を知っている人間の気持ちであり、
生まれた時からネットの存在が当たり前の世代の人たちにすれば、
人と人との出会いとは、もともとが曖昧で不確かなものであり、
多かれ少なかれ勘違いや思い込みを前提としたものである、
ということになるのかもしれない。

たとえば、座間の事件のことを考えてみても、
犯人と被害者との間でTwitterで交わされた
「死」とか「自殺」といった言葉にこめられた意味や思いは
おそらく全然違ったはず。

その曖昧な誤差を考えないで実際に出会ってしまい、
その誤差に気づいたときには、もう遅かった……
ということなのかもしれません。

あるいは、Twitter上で言葉だけでやりとりしてる時、
すでに「出会っている」と思っている。
実際は、その時点ではまだ「出会い」ではなく、
言葉という粉飾のシステムを発動しているだけなのに。

そして、生身の人間と人間とが出会ったとき、
初めて本当の「出会い」が始まるのであり、
言葉以外の多くの情報をやりとりすることで、
初めて目の前の他人を知ることになるのに、
Twitter上のやりとりだけで相手を「知った」ような気分になる。

なんてことを考えていたら、テレビでどこかの大学の先生が、
Twitterでは「いろいろな人の意見や考えを知ることができる」気がするが、
じつは、「自分に都合のいい意見や考えだけを選別している」のだと、
話していました。ああ、なるほど、それはあるかも知れない。

不特定多数の人とつながることができる、
それがTwitterのすばらしさだなんて思っているけど、
じつは誰もが無意識に、「自分にとって都合のいい人、
自分を肯定してくれる人、気持ちのいい人」だけを選別している。
そういうことかもしれません。

だからTwitterは「楽しい」「心地よい」。
こんなことを書くのはとても不謹慎でよくないことですが、
それをわかっていて、あえて書けば、
座間の事件の被害者の人たちは、
犯人との間で「死」や「自殺」についてやりとりしてる時、
「こういうことを本気で話せる人がいることの心地よさ」を感じていた、
そんな気もします。だからハマッていったのだと。

そんな疑似的な心地よさを生み出す、という意味で、
Twitterとは、やはりどこか空恐ろしいシステムだと思います。

あ、べつに、Twitter批判をしているわけではないです。
ただ、Twitterというものが演出している人間同士の「出会い方」の、
その曖昧さは、やはりどこか放っておけないのだ、
という気がします。とても。

Twitterが重要なアイテムになる『月はゆっくり歩く』の上演を前に、
とても大変な事件が起こってしまい、
それもまたTwitterが大きくからんでいる。
あらためて、いろいろなことを考えながら稽古しています。

初日は11月23日です。



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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
web.fc2.com/index.html

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