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2018-12

佐野さんの猫フネと、野良猫ソワレのこと

朝早く起きてボンヤリと教育テレビを見ていたら、
佐野洋子さんのエッセイ「フツーに死ぬ」の朗読をやっていた。
『神も仏もありませぬ』という本に入ってる文章らしいけど、
あれ、この本持ってるなあ、てことは読んだことあるのかな、
なんて思いながらベッドの中で聞いていました。

レントゲンで末期ガンだということがわかり、
あと1週間くらいしかもたない、と言われた飼い猫のフネ。
いつ死んでもおかしくないフネの最期の数日が淡々と語られます。

きっとすごい苦痛なんだろうけど、フネはただじっとしているだけ。
佐野さんがいつもより高級なキャットフードを買ってくると、
それを義理がたく少しだけ食べるけど、でも、ただじっとしてる。

人間ならガンと聞いただけで大騒ぎし、薬で痛みを抑えてくれとか、
少しでも生き伸びさせてくれとか、いろいろなことを言い出す。
しかしフネは、ただじっとしたまま。そんなフネの目の中に、
佐野さんは、静かな諦念を見つけます。

「この小さな生き物の、
生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるんだ。
その静粛さの前に恥じた。
私がフネだったら、わめいてうめいて、その苦痛を呪うに違いなかった」

ああ、きっと僕もそうだ。ぼくも目前の死に、きっとジタバタするだろう。
そんなことを思ったりもしました。

死とは宿命である。けっして逃れることはできない、
そのことを人間は知っている。動物たちは知らない。
なのに、知っている人間だけが死ぬ前に大騒ぎをする。

佐野さんは、こうも書いています。
「太古の昔、人はもしかしたら、フネのように、フネのような目をして、
フツーに死んだのかも知れない」

生まれることも生きることも死ぬことも、きっと事件でも何でもない。
特別なことではない。すべてが「フツーのこと」。
だから、死というものも、フツーの出来事として、静かに受け入れればいい。
そのことをフネが教えてくれます。

猛暑が続き、野良猫たちはどこでどうしてるんだろう、無事だろうか、
と毎日考えます。きっと猛暑で命を落とす野良猫もいると思います。
誰にも知られず、ひっそりと息を引き取る野良猫のことを、
なんとなく想像していました。ぼくも野良猫みたいなものです。

朝から、なんだかいいものを聞いたな、と思っていたら、
その後、同じ教育テレビの『こどものための哲学』のテーマは
「ふつうってどういうこと?」でした。おお、なんたる偶然。

今日は雨だけど、野良猫ソワレはどうしてるだろう。
そろそろゴハンをあげに行こうかな。







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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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