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2018-12

地図の独白、あるいは舞台だからこそ出来ること

本と映画が大好きだった母親は、最後の入院生活をしているとき、
よくぼくに「あれを買ってきて」と本の注文をしました。
寝台からほとんど離れることができなかった母親は、
好きな本を読んで、それを脳内映画化するのが楽しみだったようです。

「今、井上靖の『しろばんば』を映画にしている」とか、
「次はクローニンの『城砦』を映画化するから買ってきて」とか。
もしかしたら作家か映画監督になりたかったのかもしれない母ですが、
元気なときは、1日中部屋にこもって、黙って和裁をしている生活でした。

そんな血を引いてるからというわけでもないだろうけど、
ぼくも面白い本を読むと、それを頭の中で「舞台化」します。

大好きな村上龍の『コインロッカーベイビーズ』は、
キャストを替えて(笑)、何度も舞台化しました。
ぜひバカでかい舞台でアンサンブルを100人くらいはお願いしたい。

マルケスの『百年の孤独』や、吉田知子の『お供え』なんかも、
ぜひ舞台化したいねえ。もう少し若い頃の白石加代子で『お供え』、
ああ、見たいねえ。今なら、誰が主役やるかなあ……なんて。

でも、中には、いくら面白くても舞台化が難しい小説もあって、
昨日読んでた平山夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』という短編は、
なかなか舞台のイメージが湧いてこない。映像化なら、どうにかなるか?

短い小説だけど、一人称の「私」が、地図。
タクシーの運転手が助手席に置いてる道路地図の独白、という体裁なのだが、
この設定の面白さを表現するにはどうすればいいか?

まさか役者が地図の着ぐるみを着るわけにもいかないし(笑)、
そう、昔『ウゴウゴルーガ』でやってた『ももいろぞうさん』みたいな?
いやいや、あれはいかんでしょう。『ももいろぞうさん』は好きだったけどね。

なんか、こういう、舞台化も映像化もしにくい小説に出会うと、
それこそ「文字と言葉だけが可能な表現と面白さ」なんだろうなあと思います。

小説だからこその面白さ、
舞台だからこその面白さ、
映画だからこその面白さ、
それぞれの面白さがあって、それらはけっして越境しない、
そのことを、ときどき考えます。

ノーチラスの芝居はときどき「小説を読むみたいな…」と言われます。
もちろん、いい意味で言っていただくのですが、
その一方で、「舞台だけにしかできない見せ方」というものにもこだわりたい、
そうも思うのです。舞台だからこそできること、舞台以外ではできないこと、
それは、かなり難しい課題です。

今度の芝居は、いつもより少しだけ、そのことに踏み込んでると思います。
舞台でなければできないことをやろう。
「いつもとはちょっと違う芝居」、そう思われたい。

『となりの事件』、本格的に稽古が始まりました。
初日は10月10日です。







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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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