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2018-12

「当事者」ではなく「当事者ではない人々」だから

最初の週末稽古が終わり、久しぶりに夜11時頃帰宅して、
ああ、またこの生活が始まる…と感慨にふけって夜更かし。
張りつめた2か月間のスタートです。

今朝は少し遅めに起きたのですが、ネットを見ていたら、
江川紹子さんの発言が紹介されていました。

オウム幹部の死刑が執行されたことに対して、
「なぜあんな事件が起こったのか、まだすべて解明されたわけじゃないのに、
死刑執行により、謎が残されたままになってしまった」という一部の批判。
それに対して江川さんは、それは違うとハッキリ断言しています。

金と時間を十分にかけた捜査と裁判によって、解明されるべきものは解明された。
その事実を認めずに、「この事件の謎は永遠に解けないままだ」と
無責任で感傷的な言葉を口にするメディアや一部の識者に対して、
そういう言い方はおかしい……というのが江川さんの考え方です。

ぼくもずっと同じようなことを感じていたので、これを読んで、
まさにその通りだと思いました。
死刑制度そのものの是非はここでは触れませんが、
死刑になったからといって「謎は残されたままだ」と言ってしまうことに、
とても安易な感傷を感じてしまいます。

もちろん100%解明されたわけではないでしょう。実際、残された謎はあると思います。
しかし、だからといって「100%解決するまで死刑は執行しない」となれば、
それこそ永遠に執行されないことになるでしょう。

「これ以上は、もう何も出てこない」というところまで来たら、
今度は、オウム側の問題ではなく、オウムを取り巻くこの社会の側の問題、
なぜこの社会がオウムを生み出したか?の問題のような気がします。
「オウム以外」の人々について考える番になったのだと思います。
江川紹子さんの考え方に「なるほど」と納得しました。

ちょっと飛躍しますが、これを読んで思い出したことがあります。
少年Aの『絶歌』が出版されたときのことです。
あのとき、世の中には「こんなもの絶対に読むもんか!」という批判が起こりました。
また、読んだ人からは「弁解と保身に満ちた自己弁護」として糾弾されました。

あのとき「こんなものは絶対に読まない」という風潮に、とても違和感を感じました。
あの事件が起こったとき、多くの人々が「なぜ、こんなことをしたのか?」
「なぜ、こんな事件が起こったのか?」を知りたがりました。

それから数年後に犯人が書いた『絶歌』は、その謎を知りたいと思った人にとって、
とても重要な手がかりになったはずです。
たとえそれが「弁解と保身に満ちた自己弁護」であったとしても、
そこから一歩引いて「なぜ今も、こんな気持ちでいるのか?」を考える、
それが、あの事件の謎と向き合うことだったと思うのです。

だから、あの本を「絶対に読まない」と断言する人たちは、
あの事件の謎と向き合うことを拒否してることになるのでは?と感じていました。
「あの少年のことを、みんなあんなに知りたがっていたのに、どうして読まないの?」
ずっとそう感じてしました。なんといってもあの本は、
「少年A」から「少年A以外の人々」に向けられた重大な手がかりだったのだから。

今朝のオウム幹部死刑に対する江川さんの考え方を読んで、
そのときのことを思い出しました。
人間は、犯罪や犯罪者に対して、理性的に向き合う部分がある一方で、
感情的・情緒的にとらえてしまうところがある。

そのどちらが勝ってもならない、ちょうどいいバランスでとらえないと、
本当のことがなかなか見えてこない。多分。
そして、「オウム」に対して「オウムを生んだ社会に属する人々」がいて、
「少年A」に対して「少年Aではない人々」がいる。
「それ以外」の人々のことを考えることも、また、
とても大切なんだろうなと思います。

どんな出来事であっても、それを他人事にしてはならない。
でも人間は、つい、「自分には関係ない、遠い世界で起こったこと」
そうとらえがちです。それは人間の「弱点」のような気がします。

今、稽古してる芝居にもちょっとだけ関係あることかもしれない、
そう思うので、書いておきます。

さて、本日は稽古場に利用料金の支払いに行ってきます。











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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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