FC2ブログ

2018-12

最後に「ああ面白かった!」で死ぬ人生を

いつでも読めるように枕元に置いてる本の中に、
武田百合子、その娘さんの武田花、このふたりのエッセイがあります。
武田百合子は、作家武田泰淳の奥さんです。
どこで暮らそうと、どんな生活をしていようと、
このふたりのエッセイは、必ず手近に常備されています。

日常生活のなにげない風景を切り取った短い文章ですが、
何も飾らず、何かを狙ってもいない、淡々とした文章と描写は、
きっとそのまま、ふたりの人生と日々の暮らしを写しているようです。
猫好きの写真家でもある武田花さんの写真も楽しいし。

何の事件も起こらない、何も変わらない、ふたりの日常と文章に触れると、
ああ、こんなふうに生きれたらいいなあと思います。
ぼくにとっては、ふたりの本は、ちょっとした精神安定剤です。

まったく思いがけず、そんなつもりではなかったのに、
もしかしたら「人生の転機」が訪れるかもしれない、と思う今日この頃です。

いや、「人生の転機」なんてものは、そんなにふうに現れるのではなく、
あとで思い返して「あの時が人生の転機だったなあ」と気がつくものなのか。
そのへんはよくわかりません。どうなんでしょうね。
でも年齢のせいもあって、人生を俯瞰してみることが多くなりました。

過去を思い返すと、いくつか「人生の転機」があります。
美大を目指して、九州から東京に出てきたとき。
美大を諦めて、ふつうの大学の文学部に入ったとき。
結婚したとき。そして、離婚したとき。これらは確かに「転機」だったなあ。

自分は画家になると無邪気に信じていた少年が、
自分の才能の無さを知って方向転換を強いられたのは、
やはり大きな出来事でした。

そして、まさか自分が結婚するとは思ってなかったのに、結婚したとき。
まさか自分が離婚するとは思ってなかったのに、離婚したとき。
これは間違いなく「転機」です。どちらも。

で、よく考えてみたら、その後は「転機」らしい「転機」はない。
いろんな出来事や出会いは確かにあったけど、
それが「転機」といえるかどうかは、多分これからわかるのかな。

そして今になって、人生久しぶりに「転機」が訪れるかもしれない。
それも、かなり思いがけない「転機」。
うーん、人生とは本当にわからんもんです。

今回の「転機」の理由はいろいろありますが、
そのうちのひとつは5月に妹が亡くなったことです。
両親を早くに亡くしているので、次は自分だろうと思っていたら、
思いがけず妹が、まだ死ぬような年齢でもないのに先に逝った。

もしかしたら自分も予想外に早く死ぬかも、とは思っていません。
意外と長生きするような気がしています。
でも、だからこそ、「じゃあ、どうやって生きればいいか?」ということを、
今さらながら、思ったりもします。

いや、生きるのも死ぬのも、それは誰にとっても宿命だし、
時間は淡々と、ただ淡々と流れていくのです。
どんなふうに生きようと、誰もが同じところにたどり着きます。
まあ、それはわかっている、わかっているのだけどね。

いつも自分勝手に「夢」ばかり追いかけていた人生でした。
最後の最後まで、そうありたいと思います。
望むのは、ただそれだけ。

「ああ、おもしろかった!」
最後は、そうつぶやいて死にたい。

それだけなのです。

昨夜も、土砂降りの雨の音で眠れなくて、
武田百合子のエッセイを読んでいました。
そうして、生きていること、時間が流れていること、いつか死ぬこと、
そんなことを、ボンヤリ考えていました。

時間が流れる音なんて聞こえるはずはないのだけど、
耳を澄ませば、聞こえるような気がします。






スポンサーサイト

● COMMENT FORM ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://theaternautilus.blog99.fc2.com/tb.php/1239-b3c3db05
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
web.fc2.com/index.html

最新記事

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示