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2018-12

どうせなら、「ときめき」ながら死にたい

新しい仕事が入ってくるのは本当にありがたいことです。
でも、仕事の依頼とともに、「原稿料は少し下がりますが……」
というお詫びの言葉も付いてくる。それが普通になりました。

出版業界の斜陽はもう当たり前のことで、
ぼくらのような末端なライターにも冷たい風が吹きつけます。

「それでもなんとか頑張って、出版人としてのアイデンティティというものに、
しがみついていきたいですよね」みたいな結論で電話が終わる……

「出版という仕事に貢献したい」という志を持って業界に入った人は、
たとえ名も無きプロダクションの編集者でも一介のライターでも、
「どこまでもこの世界で頑張りたい」という気持ちの人が今も大勢いる。

崖のふちに立って、おそるおそる身を乗り出して下を覗き見るような、
そんな今の状況を、少しでもどうにかしたい。
そんな光景を思い浮かべながら電話を切りました。

今思い出したけど、最初に入った出版社の同期の3人で、
毎週日曜日に吉祥寺の某喫茶店に集まって、
新しい雑誌の企画を考えていたこともあったなあ。懐かしい。

編集会議ではまったく相手にされず、その後、3人はバラバラになり、
その出版社も、10年くらい前に潰れました。
いや、そんな話は、あちこちにゴロゴロしてるはずです。

誰もが夢を持ち、それが実現することもあるだろうけど、
なかなか実現しなくて、時代もどんどん変わっていって、
ただの思い出話だけが残るなんて、やりきれない話です。

でも、「いい本を作りたいね」という言葉が虚しくなっていく現実がある、
その一方で、今ぼくには「いい芝居を作りたいね」と言い合える仲間がいる。
それはとても幸せなことだと思います。

今朝は早起きして、森田芳光監督の『ときめきに死す』を観てました。
これ原作は丸山健二ですぜ! 
ある人物を暗殺するために、別荘にこもって準備を進める暗殺者。
冷静にストイックに、目的に向かって黙々と進む暗殺者だが、
最後に、とんでもない結末が待っています。

確固たる目的を持った人間が、思いがけない虚無の瞬間にたどり着く。
このタイトルの「ときめき」は、何をさしているのだろう。
暗殺成功の瞬間を思い描いていた、そのときめき?
それとも、もっと違う、大きなもの?

どうせ死ぬなら、ときめきの中で死ぬのもいいね、
なんて思いました。









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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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