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2018-12

個人情報が平気で公表されていた時代があった

新しい仕事の連絡が来るのは大歓迎だけど、
最近はそれとともに「原稿料が下がります」のお詫びもくっついてくる。
恐ろしい時代だ。フリーのライターは生きていけぬ。

しかし、やるしかないのだ、と編集者さんと励まし合い、
いつかまた出版業界に活気が戻る日を夢見てる……
いや、そんな日が来るなんて、もう誰も思ってないだろうけど。
新潮社のことも気になるし。

その新潮文庫に坂口安吾の『不連続殺人事件』が入りました。
なぜ今?と思っていたら、いわゆる「読者への挑戦状」が入ってる。
どうやら最初に雑誌に掲載されたときは、最後の解決編の前に、
「犯人は誰か? 当たった人には、解決編の原稿料を差し上げます」
という剛毅な挑戦状があったらしいです。

今まで他社から出た『不連続殺人事件』では、それがカットされていたが、
今回はそれもきっちり掲載するってことです。
いや、なかなかオツな趣向でございます。

そう思って立ち読みしたら、驚いたことに、
ちゃんと正解者の氏名まで紹介されている、しかも住所つきで。
すごいのは、住所がきちんと番地まで掲載されているところ。

今調べたら、この小説が最初に雑誌に掲載されたのは
昭和22~23年のこと。つまりその頃は雑誌に個人名や住所を掲載しても
何の問題もなかったということでしょう。ビックリです。
今の時代では絶対に考えられない。
そんな形での個人の特定。

でもよく考えてみたら、ぼくの子供の頃には、
いろんな雑誌に「ペンフレンド募集」のコーナーがあって、
そこには文通相手を募集する人の本名や住所が
きちんと掲載されてました。時には顔写真まで。

信じられないな、今なら犯罪の温床です。
絶対に何かが起こる。昔は平和だったのだな。

犯罪の種類や形が増えて、個人情報がそれにつながる。
こんな時代が訪れるなんて当時は予想もしなかったのでしょう。

今は、誰がどこに住んでるやら、まったくわからないし、
となりにどんな人間が住んでるかもわからない。
先日、稽古場で、「となりにどんな人が住んでるか、知ってる?」
と質問したら、全員が首を横に振りました。

人口が増えて、他者との物理的な距離は間違いなく近づいたけど、
でも、それが誰なのかは、まったくわからない。
わからないということは、いないも同じ。
ふむ、不思議な世の中。

……なんて書きながら、
この文章の話題はじわじわと『となりの事件』に近づいてます(笑)。
そんな時代だからこその『となりの事件』。
初日は10月10日です。

新しい『不連続殺人事件』も欲しいね。
平気で個人情報を公表していた時代、
そんな時代が日本にはあったのです。








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お久しぶりです。

個人情報がやたらと保護されるようになったのは、ここ20年くらいではないでしょうか?
多分もう消されてしまったでしょうが、随分昔に動画サイトで観た事を紹介しましょう。星雲仮面マシンマン(84年)という特撮の最後に視聴者お便りコーナーというのがありました。主人公が視聴者のちびっ子から来た感想や応援のハガキを読み上げます。その時にハガキの裏表がズームアップされ、観ているちびっ子の名前や住所が大写しになります。
その当時はまさか動画が共有され、個人情報が悪用される時代が来るなど考えられもしなかったのでしょうね。


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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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