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2018-12

シアターノーチラスのこと

おはようございます。まだ朝早い時間ですが、
昨日予告したことを書こうと思います。
これは自分のために書き留めておく文章でもあります。

じつは、シアターノーチラスは、
今回の「となりの事件」で終わりにするつもりでいました。
当日パンフに次回公演の予告がなかったのは、だからです。

理由はいくつかありますが、結局は僕自身の力不足です。

12年前に芝居をやろうと思い立ち、劇団を旗揚げしたときは、
「自分は脚本や演出についての教育を受けたわけではないし、
芝居について詳しいわけでもない。でも芝居は好きだ。
だから家族のような仲間がいて、内輪でワイワイ楽しめるような、
そんな小さな集まりができたらいいな」くらいの気持ちでした。

ところが、ノーチラスの芝居を「面白い」と言って下さる人がいて、
内輪だけの楽しみだった公演が、少しずつ変わってきました。

そのうち仲間の間から「下北沢でやろう」「もっと大きな劇場を目指そう」
というような声が出るようになり、ぼくもその気になりました。
少しずつですが一般の御客様の数が増えて、
そういう夢が、いつか夢でなくなるような気がしてきました。

2013年に初めて本多グループの劇場で公演をやらせていただき、
芝居の聖地である下北沢で公演をしてる自分に驚きつつも、
もっと上を目指そうという上昇志向を持つようになりました。

その後、本多グループのいくつかの劇場で度々芝居をやらせていただき、
そして今回のOFFOFFシアターでの「となりの事件」に至ります。

そして今思うのは、現実はなかなかそう甘くはないということです。
ぼくには演出や脚本についての基本的な知識も技量もない。
人よりも突出した才能があるわけでもない。

まわりを見れば、本格的に芝居の教育を受けた人たちや、
本当に才能のある人たちが大勢います。
それに気づいたとき、自分がひどく場違いな所にいるような気がしました。
自分が間違った場所に迷い込んでしまったような感じです。

それでもなんとか頑張って、自分が持っている力を全部出して、
さらに、小劇団だからこそできることは何だろうか?と考え、
たくさんの制約を逆手にとって最大限の効果を上げるにはどうすればいいか?
ということを考えて、自分なりに納得のいく芝居を作ってきたつもりです。

本当の演劇人やプロの真似をするつもりはありませんでした。
というか、そんな力はもともと僕にはありません。
あくまでも「小劇場」という範囲の中でできることをやろう、
芝居で食べてる、生活してるわけではないが、
それでも芝居が好きだという気持ちをエネルギーにして、
お客様に満足していただける、「観てよかった」と思っていただける、
そんな舞台を作ろう、それだけを考えながらやってきました。

しかし、そろそろ、そのことが限界になってきて、
「下北沢は、自分には高望みだった」と思うようになりました。
ここは、ぼくのようなド素人が芝居をやる場所ではない。
一度そう思い始めたら、どんどん自信がなくなり、
自分が委縮していくのがわかりました。

ここ1~2年で、一般の御客様がずいぶん増えて、
興味を持ってくださる方も少なからずいらっしゃいます。
しかし、そういう御客様が増えれば増えるほど、
自分は、その御客様の期待に応えるだけの芝居を作れるのだろうか?
と思うようになりました。

そんなことを考えているうちにすっかり疲弊してしまい、
次回作への意欲がなくなり、これで終わりにしようと思いました。
「となりの事件」を、ぼくにとって最後の芝居にするつもりでした。

以上が、これまで考えていたことです。

「小劇場」って何だろう。
世の中は「小劇場」に何を期待し、求めているのだろう。
「小劇場」は、ふつうのプロの演劇のミニチュア版ではないはずだ。
「小劇場」には「小劇場」でなければならない「何か」があるはずだ。
そう思います。

そして、それにふさわしい才能と実力が求められる世界です。
自分には、そんな力があるのか?
多分、「無い」と思います。



そんなことを、「となりの事件」の打ち上げの席でみんなに話しました。
自分の今の心情を、包み隠さず暴露したつもりです。
当然、みんなもそのことをわかってくれて、納得してくれると思いました。

ところが、意外なことに、みんなから反論を浴びました。
無理をしないで、自分が本当にやりたいことをやればいい、
きっとみんな、そう言ってくれたのだと思います。

そういうものなのかな。でも、確かにぼくは、
「自分が本当にやりたいことは何だったのか?」
それを忘れていたのかもしれません。

ぼくは、けっして演劇人になりたいわけではありません。
そんな才能は無い。永遠のアマチュアです。
それは12年前の最初からわかっていました。

でも同時に「御客様に満足していただける芝居を作り、
90分の芝居を見終わったあとに少しだけ心を揺さぶられるような、
御客様に寄り添えるような、そんな時間を生み出したい」
その気持ちも、やはり12年前からずっと持ち続けてきました。

そんな甘っちょろい考え方がどこまで通用するかわかりません。
しかし今は、みんなの声に後押しされて、
もう少し続けてみようかと思っています。

才能ある人と優れた劇団がひしめき合う「小劇場」の世界ですが、
ぼくのこのアマチュアリズムの居場所を、
そのどこかに探してみようかと思います。

というわけで、
自分はド素人なのだ、
自分にはただ熱意しかないのだ、
それを認めて自覚することから、再スタートを切りたいと思います。

それが2018年10月20日現在の心境です。

忘れないように書き留めておきます。

最後になりましたが、
今までシアターノーチラスを支えていただいた大勢の御客様、
役者の皆さん、スタッフの皆さん、
本当に、どう言えばいいかわからないくらい感謝しています。

よろしければ、
これからもシアターノーチラスにお付き合いください。

ぼくは何も変わることなく、
人間に寄り添える芝居を作り続けたいと思います。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。


今村幸市




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今更ブログに気づきましたが、今村さんがツィートに返信して
くださった通り、まさに「小劇場でしかできない舞台」を見せてもらいましたよ(今年100近の観劇の大半は小劇場ですが)
一緒に行った若い役者も感銘を受けた様子でしたし、最初に誘った若い役者も「シアターノーチラス好きなんですけど都合が・・・」と言っていましたよ
根強いファンは多いと思います


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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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