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2018-12

自分が今どこにいるのかわからない時って

陽が落ちて野良猫ソワレにごはん上げようと裏道を歩いていると、
知らないおばあさんに道を聞かれた。
「駅に行くんですか?」「そうじゃなくて自分の家に帰るんですけど」
そんな不思議な会話を交わし、しばらく一緒に歩く。

「このへんはどこを歩いても同じような風景で、迷ってしまいますよね」
確かに、東京の住宅街の裏道は迷路。
近くに住んでる人でさえ、迷ってしまう。
ぼくも、気まぐれでいつもと1本違う路地に入ったりすると、
もう方向がわからなくなるもんな。

とりあえずおばあさんを、広い道まで案内すると、
「ああ、ここ」なんて曖昧な声を上げていた。大丈夫かな。
無事に帰り着いただろうか。

崔洋一監督『月はどっちに出ている』という映画がありました。
小さなタクシー会社を舞台にして、在日韓国人やヤクザなど、
社会の表面には出てこない人々の日常を描いたとてもいい映画。

この中に、ある新人のタクシー運転手が出てくるのだけど、
彼はまだ都内の道をよく把握してなくて、
しょっちゅう公衆電話から会社に電話しては、
「私は今、どこにいるのですか?」と尋ねる。

もちろん、何度も繰り返されるそのセリフには、
ただ道に迷った運転手の言葉というだけでなく、
もっと深い意味が隠されているのだろうけど、
実際、そう言いたくなる瞬間が、人生には何度もあります。

「私は今、どこにいるのですか?」
そういえば『となりの事件』の千秋楽のあと、
荷物を運んだレンタカーを返しに行くとき、完全に道に迷い、
レンタカー会社に何度も電話して、
「僕は今、どこにいるんですか?」と訊きました(笑)。
返事は「わかりません」でした。

今日は、またしても、あるプロダクションから、
「申し訳ないのですが、原稿料を下げます。
それを承知していただけるなら仕事お願いします」との連絡。

今年は、こういう連絡が多かった。
つぶれた会社、都落ちした会社もあった。
それでも「自分は出版業界の人間だから」と、
「現実」に向き合ってみる。好きで入ったこの世界。

まさに気分は、「今、ぼくは、どこにいるのでしょうか?」です。
きっと、道はどこかに続いている。どこかに。

阿佐ヶ谷の住宅街の迷路で道に迷ったおばあさん、
今ごろ晩御飯食べてるだろうか。
気になります。






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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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