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2019-05

今日観た映画『ショートターム』のこと

寒い1日。今日は、ミランダ・ジュライの『最初の悪い男』を読んで、
それから『ショートターム』という映画を観た日でした。

家庭にいろいろな問題を抱えたり親に見放された子供が短期間暮らす施設、
その施設でのおとなたちと子供たちの物語が『ショートターム』です。

ときどき施設の外に逃亡する子供がいるけど、
子供たちを日常的に面倒を見るケアテイカーは子供の体に触れてはいけない、
なので、ひたすら追いかけて、連れ戻す。

施設内ではいろいろな出来事が起こる、盗難や傷害、自殺未遂……
それでもケアテイカーは子供に直接触れることはない。
なんだか偉そうに「いい話」をすることもない。

ではどうするかと言えば、ただ「寄り添う」。
すぐそばにいて、話を聞く。あるいは自分の話をする。ただそれだけ。
子供たちが抱えている問題をうまく聞き出し、言葉にさせる。
でも、それに何か解決策があるわけではない、説教もしない。

それでも、そこに、人間と人間との交流というか、触れ合いが生まれる。
なんか、こんなふうに説明すると、すごく安っぽいな。
でも、ほかにうまい説明が思いつきません。

ただ、何も押しつけがましくないし、偉そうな人が出てくるわけでもない、
ただ、おとなも子供も等身大の人たちばかり。
それがとてもとても沁みる映画です。

アメリカの学生たちが作った自主映画から生まれた作品だそうで、
どこにも「上から目線」が無い、それがとても清々しいです。

こういう映画を観ると、必ず思い出すのは、ぼくが立ったひと晩泊まった施設。
中学時代に家出したとき、夜中に警察に見つかって夜行列車から降ろされた。
広島でした。警察で取り調べを受けたあと、市内の施設に一泊させられた。
それは、親のいない子供たちが暮らす施設でした。

家庭を逃げ出して、途中でつかまった見知らぬ中学生を、
遠巻きに見ていた子供たちの目を、ずっと忘れることはありません。

その後、父も母も、早くに死にました。父が死んだとき、ぼくはまだ大学生。
父との間のわだかまりはすべて残ったまま。何も未解決のまま。
親との間に何か根深いものを残したまま死なれてしまった、
そんな人も、世の中には大勢いると思います。

でもその一方で、去年死んだ末の妹は、両親の記憶がほとんどなかったはずです。
親子の団欒とか、家族の温かさとか、そういうものとは無縁のままで死にました。

親との間に、未解決の問題を残したままで、さっさと死なれてしまった自分。
そして親と過ごした時間の記憶をほとんど知らないままで死んだ妹。

一体、どちらが不幸か?というような問題ではないけど、
そして「親は選べない」「子は選べない」と、よく言うけど、
それは、自分が死ぬ瞬間まで、何らかの形で自分と関わるのだと思います。

『ショートターム』には、父親に虐待を受けながらも、
週末になるとそんな父親のところへ帰りたい、
というか「帰らなければならない」と思い込んでいる少女が出てきます。
痛々しい、とか、そんな言葉では語れない気がします。

ぼくたちには言葉があるけど、言葉が必ずしもすべてを解決するわけじゃない。
ただ「寄り添う」ことしかできない、そんな場面もたくさんある。

自分のことを振り返ったりもしました。

この映画、もしどこかで見かけたら、よかったらぜひ。




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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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