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2019-02

それはいつまでも「手の届かないもの」でいて欲しい

ある小さなニュースを見て、昔読んだ小説を思い出しました。

異色のSF作家フレドリック・ブラウンの短編です。
ある夜、いくつかの星が一斉に動き出し、少しずつ位置を変え始めた。
原因不明の現象に、世界中が大騒ぎになる。

星というのは、近いものもあれば遠いものもある。
何十万光年もの彼方にある星も、数十光年の近さの星も、
すべて一斉に動き出すのは、どう考えても理屈に合わない。
あり得ない現象だ。学者たちは頭を抱えた。
しかし、その間も、星たちは少しずつ位置を変えていく……

何日かが過ぎたとき、人々は夜空を見上げてアッと驚いた。
星たちが、某企業の新製品の石鹸の名前を描いていたのだ。
じつは、その企業が星の数の人工衛星を打ち上げた。
人工衛星には巨大なレンズがついていて、そのレンズを利用して、
地上から星の見える位置が変わるように計算されていたのだ。

つまり、その企業は星の位置の見え方を変えることにより、
夜空に、星のネオンサインを作ったというわけです。
タイトルは忘れましたが、いかにもブラウンらしくバカバカしい小説です。

……と思っていたら、「え?」というようなニュースがありました。
ロシアの某企業が、人工衛星で複数の反射板を打ち上げて、
それに太陽光を反射させ、企業名を浮かび上がらせる、
そんな計画があるらしい。来年には実験が行われるそうです。

まさにブラウンの小説と同じ、宇宙に浮かぶネオンサイン。
ブラウンのほうは星の配列を変える、
ロシアの企業は太陽光を利用する、
方法は少し違いますが、宇宙空間までもビジネスに利用するという、
その発想は同じです。現実がSF小説に追いつきつつあります。

これが良いことか悪いことかはわかりませんが、
「宇宙は、どこまでが地球人のものか?」という素朴な疑問もあります。
そんなことを勝手にやって、気分を害する宇宙人はいないのか?

もしもこれがどんどん発展していけば、
地球周辺は、新宿とか香港並みのネオンサインの街になるんじゃないか、
ひとつ成功すれば「うちもやりたい」という企業はどんどん出てくるだろうし、
そうなると、いつかはきっとハデハデな「電飾の星」になるだろう。

これはどこまで許されるのか?
もしも宇宙連合とか銀河系同盟なんて組織があれば、
絶対に問題視されそう……

かと思えば、先日打ち上げられたイプシロンに搭載された人工衛星では、
「人工的な流れ星」の実験が行われるそうです。

流れ星の「核」になるような金属球を成層圏にばらまき、
流れ星を人為的に作り出すらしい。

これって、ゆくゆくは、
「本日22時30分に流れ星を降らせます。
皆さん、願い事を考えて、夜空を見上げて待機してください」
みたいなことになるってこと?
なんか、流れ星のありがたみが半減する気もします。

まあ、人間が宇宙や天体現象を好きなように操るような時代も、
いつかはやってくるのだろうけど、できることなら、もう少しは、
「手の届かないもの」であってほしい気はしますが。





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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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