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2019-10

「事件」から11年、「孤独の観察」から2年

すこし書き留めておきたいことがあります。

数日前のNHKの『事件の涙』というドキュメンタリー番組で、
2008年の秋葉原の無差別殺傷事件の犯人について取り上げていました。
なぜ今このタイミングで?というのには理由があります。

あの犯人は家族に恵まれず友人もいなくてネットのチャットにハマっていた。
そこで「犯行宣言」をして、誰かに止めて欲しかったのに、
結局ネット上の話し相手はだれも本気で彼を止めず、
その結果、彼は犯行に向かって暴走した。

……というのが、この事件の大雑把な流れです。
もちろんそこには、もっと複雑で理解できないいろんな要素があって、
そう簡単には語れないのですが。

犯行前に彼がネット上に書き込んだ自暴自棄な言葉がたくさんあって、
それは事件当時、いろんなところで取り上げられていました。

それらを元にして、ぼくは『孤独の観察』という芝居の脚本を書き、
2017年に上演しました。
脚本の中には、あの犯人がネット上に残した言葉から引用したセリフもあります。

犯人が残した言葉は、ぼくにはかなりのインパクトというか、
とてもダイレクトな言葉が並んでいて、とても衝撃的でした。
『孤独の観察』という芝居は、その感情がもとにあって書いたものです。

そして、数日前の『事件の涙』です。
番組には、秋葉原で大怪我を負ったひとりの男性が登場します。

彼は獄中の犯人と手紙をやりとりしていました。
彼の犯行の動機や、その後の感情の変化を知りたくて、
とてもストレートに手紙を書いていたのです。

ところが、ある時期から犯人からの返事が来なくなりました。
その人は、とてももどかしい気持ちで、一方的に手紙を送ったのですが、
犯人からの返信は途切れたままです。

そして、思いがけないことが起こりました。
犯人が最近書いた「詩」が発表されたのです。

ラップ調で書かれた彼の「詩」は、ある意味でとてもショッキングでした。
なぜなら、そこに書かれた言葉は、
彼が犯行前にネットに書き連ねていた自暴自棄な言葉と
ほとんど変わっていなかったからです。

反省も後悔も謝罪もなく、ただひたすら、
「あのとき」に抱いていたヤケッパチな言葉を繰り返すだけ。

番組では、あれから11年が過ぎたが、彼はほとんど何も変わっていないのか?
というような疑問が投げかけられていました。

神戸児童殺傷事件の少年Aが書いた『絶歌』を連想しました。
あの本にも、今回の「詩」にも、どちらにも、
事件から何年もの時間が流れた、という感じがほとんど無い。
事件を起こしたときのままで時間が止まってる、そんな印象です。

時間には浄化作用がある、なんてことも言われるけど、
「そんなものは無いのではないか?」と思ってしまいます。

いや、べつに犯人に反省や謝罪を求めてるわけではありません。

ただ、「ああ、これが現実なんだろうか」と思います。

あの犯人が抱いた孤独(という言葉だけでは説明できない複雑な感情ですが)は、
時間の流れの中で簡単に癒されるものではない。

そんなことを、あらためて思います。

秋葉原のあの事件は、ぼくが芝居を始めてから間もなくして起こり、
あの現場のすぐ近くで渡辺大介君がバイトしていたこともあって、
ずっと頭の中に引っかかっていました。

それで『孤独の観察』という芝居を書いたのですが、
今また、犯人が発表した「詩」を読んで、
いろんなことを考えています。






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Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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