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2019-11

大型台風でひとりのホームレスが死んだ。

朝から1冊の本を求めて部屋の中を大捜索。
なんて書くと、ものすごく広い豪邸に住んでるとか、
空調完備の立派な書庫があるとか誤解されそうだが、
残念ながら6畳一間。本は、ただ無造作に積み上げてあるだけ。

しかも、かの内藤陳さんの部屋みたいな感じでもなく、
本の数など、たかが知れてるのだが、
それでも、1冊の本がどうしても見つからないことがある。
今朝は、大江健三郎の処女作をどうしても読み返したくて新潮文庫を探すが、ない。
『性的人間』と『万延元年のフットボール』はあった。『静かな生活』もあった。

仕方ないので、一番近い図書館に行ったのだが、そこにも、ない。
こういうときって、せつないなあ。じたばたしてしまう。
つげ義春っぽく言えば「きぐしねえ」って気分。いや、違うかな。
このセリフが出てきたのは『もっきり屋の主人』? 『赤い花』?
どっちだっけ。また探し始めるのか、おれは。つげ義春の本を。

台風の被害のニュースはまだ続いていて、本当に痛々しくて気の毒なのだが、
ひとつだけ、なんだか微妙な気分になるニュースがあった。

先週の台風で、都内でたったひとりだけ死者が出た。東京唯一の死者。
それは、多摩川近くで暮らしていたホームレスだったとか。
有名なホームレスで、「好奇心旺盛な、物知りさん」だったらしい。

ホームレスを救うのは、それはそれで難しいことだろうし、
救えなかったからといって、誰を責めることもできないだろう。
でも、なんだか切ない話である。気の毒だと思う。
というか、どんな感情を持てばいいのか、よくわからない、正直。

いや、もちろん、どんな理由であれ、災害で命を落とすのは悲しい。
なぜ、そんなことで?と思ってしまう。

その一方で、このニュースを読んだとき、ちょっと思った。
ホームレスという生き方を選んだ人は、
たとえば、洪水で死ぬとか、地震で死ぬとか、雷に打たれるとか、
そういうことを、ふつうの人よりも、何倍も切実に考えていると思う。

ぼくはホームレスの経験は無いけど、もしホームレスになるとしたら、
きっと「真冬に凍死するかも」とか「飢え死にするかも」とか想定するだろう。
そしてもちろん、洪水が起これば自分はダメかもしれないと思うだろう。

ふつうの生活を送っている人よりも、きっと何倍も切実に、リアルに、
命のことを考えているだろうと思う。

大きな台風がくれば、自分の身を守るべき家が無いホームレスは、
まともに洪水と向き合うしかない。まさに、身ひとつで。

今度の台風で、東京唯一の犠牲者となったホームレスの人も、
そういう意味で、ふだんから、いろんなことを想定し、
覚悟の気持ちもあったのではないだろうか。

少なくとも、ふつうの生活を送っている人よりも、はるかに強く、
むき出しの、無防備な、あからさまな命、というものと、
真っ向から向き合っていたのではないだろうか。

そんな人が、亡くなった。
なんというか、とても「命」というものを感じる。
へんな言い方だけど、きっとこのホームレスの人は、
何も飾ることのない、ただひとつの「命」として、
大自然の力の前に投げ出され、そして人生を終えたのだと思う。

「大型台風でひとりのホームレスが死んだ」、この出来事は、
どんなふうに伝えられ、どんなふうに受け止められたのだろう。

ぼくには、とても気持ちの中にひっかかる出来事だ。
なんか、うまく説明できないけど。

このことを書いておきたかった。








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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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