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2019-12

「現場」の話

2000年に起こった世田谷区の一家四人殺害事件の現場だった家が、
老朽化で取り壊されるかもしれないという記事が出てましたね。
未解決事件ということもあって、遺族の人はつらいだろうなと思います。

数日前に、20年前に妻が殺されたアパートの一室を、
今も家賃を払って借り続けている男性の記事が出てました。
それもまだ未解決事件のままで、
なんとかして犯人を見つけたいという思いがあるのでしょう。

どちらの事件も、遺族にとっては今も事件は「現在進行形」なのだと思います。
現場がなくなってしまうのは、その事件そのものがなくなってしまうようで、
やりきれない気持ちなのだろうなと想像します。

以上のようなことを書いた後に、
こんなことを書くのは不謹慎かもしれませんが、
かつて結婚していたぼくは、たまたま用事があって、
結婚してた時期に住んでた家の近くに偶然行ったりすると、
とくに理由もなく、そこを見にいったりします。

あるいは学生時代や独身時代に住んでた部屋の近くに行くと、
つい、フラッと見にいってしまいます。

じつは、東京に出てきてから、もう16回も引っ越しています。
典型的な引っ越し貧乏。
まあ、江戸川乱歩は生涯で40回以上も引っ越してるそうで、
それには到底及びませんが。

16回も引っ越していると、フラッと見にいく場所も多い。
それに加えて、たとえば、大学に入る前に通ってた美術学校が、
すぐ隣りの駅の近くだったりするので、そこもフラッとしてみたり。

結婚してた時期に住んでた部屋を今になって遠くから眺めると、
その頃の自分が、そのドアから出入りしているのが見えるようで、
なんだか複雑な気分。

けっして、戻りたいとか、そういう気分ではない。
懐かしい、というのとも違う。

かつて自分が生活していた場所を見ながら、
その場所だけは残っているのに、自分はそこにいない、
その不思議をただぼんやり眺めているだけ。

その頃の自分は、今の自分のことを想像もしていなかったなあ、と。
時間の流れを感じているのだろうか。よくわかりません。

ただ、その場所が残っていると、なんだかうれしい。
何かの事情でなくなっていると、少し悲しい。

阿佐ヶ谷のとなりの荻窪は、ぼくが東京に出てきて初めて住んだ場所ですが、
今、その家はありません。ちょっと切ない気分。

自分にとって大事な場所が、きちんと形として残っていることは、
誰にとっても、とても大切なことなのでしょう。

だから、たとえ家族が不幸な目にあった場所であっても、
その現場が消え去ってしまうのは、
残された人にとっては、耐えがたい気持ちだと思います。
もしも自分だったら、「頼むから残してくれ」と言うと思う。

でも、すべての場所はいつかは消え去ってしまうのが運命。

人は誰でも、知らない誰かの記憶の上で生きている。
誰かの過去を上書きしている。

なんか不思議な気分になります。








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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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