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2019-02

武者震い

沢木耕太郎の『若き実力者たち』には
唐十郎のことが書かれています。
その半生を佐藤信の半生と比べてるのが面白い、
というのを、昨夜ひさしぶりに読んで思い出した。
引っ越して以来、行方不明だったんだ、この本。

佐藤信は山手のおぼっちゃんとして生まれたのに対し、
唐十郎は下谷、俗に「乞食横町」と呼ばれる場所の生まれだ。
そして結局そのことが一生ついてまわる。
いい意味でも悪い意味でも、そこに唐の芝居の源流がある。

じつは僕も…なんて唐十郎と比較するなんて恐れ多いことはしないが、
親父は完璧なブルーカラーで、母親はそれをひそかに嫌っていた。
「お前はホワイトカラーになれ」と何度耳打ちされたことか。

出版業界って、ブルーですか? ホワイトですか?
すごくブルーっぽいけど(笑)、
「お前はホワイトカラーになれ」という母親の言葉は、
逆説的に「今のお前はつねに何かを見上げてる存在だ」
「お前は、世の中の底の方で育っているのだ」ということを
僕の体にしみこませてくれた。

あの頃は何とも思わなかったが、今思い返せば、
僕のまわりにはいつも行き場のない大勢の家族や親族と、
汚れた作業着姿の職人たちがいて、かなり人口密度が高かった。
金と女とギャンブルの話ばかりが飛び交ってた家。
人生のふきだまりみたいな場所で育ってたんだな。

自分で芝居の脚本を書くようになって、
やはり「おさとは知れるもの」と思うのだ。

どんなにキレイな話を書こうとしても、
そこには世の中の底に溜まってるドロッとしたものの中で
もがきながら生きてる人間の吐くナマナマしい言葉を書かないと、
なんだか全然落ち着かない。

それはきっと、子供の頃の僕が、
そんな言葉ばかりを聞きながら育ったからなんだろう。

ドロドロしたものを叙情に乗せて、
熱くて臭い息を吐き出すようなものを書きたい。
今までも、これからも。

芝居そのものが、一種の「強がり」のような。
そんなものが書けたらいいね。

最近、思いがけないことがいろいろ起こります。
ああ、これぞ人生の醍醐味。
1週間前、いやいや1日前にも予想しなかったことが起こる。

僕は、まだこれからもドロドロするのだ、きっと。

ちくしょう、武者震いがするぜ。

「命なんて、棒に振るためにあるのさ」(by 唐十郎)



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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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