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2019-02

今いる渚

あちこちでガイガーカウンターの針が振れてるが、
柏で、早くも「有料で測定&除染してやる」
と家庭訪問する詐欺師が出現したというニュースは驚いた。
人間とは、いろんなことを思いつくものだな。

この前、世田谷区の民家で高い放射線量が測定されたと騒ぎになって、
結局、原発とは無関係だったと判明した出来事がありました。

「原発とは関係なくてよかった」と安心した人も多いけど、
でも結局、ふだんの日常生活の中では、
一体どこに放射性物質がひそんでいるかわからない、
ということが明らかになったわけで、それはそれで問題です。

床下から発見されたビンて、一体何だったのだろう。
続報が知りたいです。

ところで、あちこちの放射能騒ぎを見ているうちに、
なんとなく読みたくなって図書館から借りてきた小説があります。
ネヴィル・シュートの『渚にて』。
ずっと昔に読んだこの小説を、なぜ読みたくなったのだろう。

ロマンチックなタイトル(原題は『ON THE BEACH』)ですが、
内容は深刻です。第三次世界大戦後の話。
核戦争によって北半球が滅亡した後、
オーストラリアに避難してきた原潜スコーピオン号の乗員たちが主人公。

もちろん南半球にも放射能はじわじわと迫っているのだが、
そんな中、シアトル付近からモールス信号が発信されているのがわかる。
しかも、何カ月にもわたって。

「もしや、生存者か?! ならば、助けに行こう!!」
というわけで、スコーピオン号は死滅した北半球へ向けて、
決死の航海を始める……というストーリー。

もしも、自分が地球上で最後の人類だと思っていたら、
じつはアメリカ大陸にも生存者がいることが分かったら……
果たして、アメリカ大陸に向かいますか?
それとも諦めて、孤独の中で死を待ちますか?

僕はどっちだろう、なんて考えながら読み進むと……

この後、物語はどう展開するのか?
ここから先は「ネタバレ」になるので、知りたくない人は、
ここで読むのをやめましょう。







スコーピオン号がモールス信号の発信地シアトルで発見したもの、
それは、風に吹かれたコーラの空きビンが、
偶然、モールス信号の発信装置を叩いている光景。

そのことを発見するために、
放射能に汚染された北半球を航海した乗員たち。

彼らの旅は何だったのだろう、と思いつつも、
でも決して無駄だったとも思えない。
きっと僕も、やはりシアトルに向かうと思う。
いや、どうかな、そのときにならないと分からない。

この小説は、核戦争後の世界を描きつつも、
何かに大騒ぎするような場面もなく、
生き残った人たちの日常を淡々と描いています。

タイトルの「渚」とは、
生と死の間にある「渚」なのでしょうね。

破滅の恐怖とはいきなり襲いかかってくるものではなく、
いつの間にか静かに忍び寄ってくるもの。
そんな気にもさせる物語です。

今、毎日少しずつ積み上げられている小さな出来事、
その小さなピースばかりに気を取られているけど、
すべてのピースが全部ピタリと集まったとき、
一体どんな絵が出来上がるのか?

それを誰か予想してくれないか?
いや、きっとだれにも予想できないのだろうけど。

人間が、地球人が、
今、一体どんな「渚」にいるのか。

いろんな出来事に、
そのことを考えさせられます。








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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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