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2019-02

虹。虹。虹。

はす向かいの保育園の先生が水まきしていると、
水の中に虹ができたみたいで、
子供たちが手を伸ばして触ろうとしている。

僕も同じことやったな。
触れそうな気がするんだ。
今もそんな気がする。

昔の子供たちも今の子供たちも、未来の子供たちも、
子供たちはみんな、小さな指で虹に触ろうとするのかな。

夏の庭、ホースの先をつぶして水しぶきを飛ばして
虹をつくってくれたのは、父親と母親どっちだったのだろう。

すごく貧乏な家で育った。母はよく、子供の前でも、
「お金のことを考えなくてもいい日が、たった1日でもあればねえ」
と言ってた。

そんな家だったけど、庭だけは大きかった。
もともと古い料亭だった建物を安くで買い取った家だったからだ。

庭の大きさだけが自慢だった。それから100種類以上の植物や池。
庭が遊び場だった。いつも大きな犬を飼ってた。コリー犬。
抱きついて遊んだ。犬の毛の匂い、今でも覚えてる。優しい犬だった。

かくれんぼすると、隠れる場所はいくらでもあった。
母親が大切にしている花を踏むと、ひどく叱られた。

土グモというクモを捕まえて遊んでいた。
木の根のところに袋のような巣をつくるクモで、
2匹を戦わせるのだ。大きなクモを見つけると歓声を上げた。

いつも、ムンムンするような植物の匂いが充満していた庭。

真夏になると、水まきした。
ホースの水で虹を作った。
手を伸ばして、触れようとした。
でも、指先には何も触れなかった。

あの庭、真夏の庭。

虹に触ろうとしてる子供たちを見ていて、
あの頃のことを思い出した。

虹には触れない、ということに気づいたとき、
僕は、どう感じたのだろう、何を思ったのだろう。

いくら思い出そうとしてみても、
思い出せないのはわかってる。

でも、なんか、その瞬間に戻ってみたい。

真夏の庭には、たくさんの不思議がぎっしり詰まってたな。

もしかしたら、今なら、
虹に触ることができるかもしれない。

なんて、今ちょっと考えた。
そんなわけないのに。

虹。

虹。

虹。



















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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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