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2019-02

彼は何かを語りたがってるのかもしれない

包帯が少しずつズレてきて、
傷が露出してきた。

まるで封印していた過去が
知らないうちに晒されるように…
なんてカッコつけてる場合じゃない。

おー、初めて見た、自分の傷。

放っておいていいのかな、
よくわからないが、
じつは病院内での会話は9割覚えてない。
だから何をどうすればいいのやら…

自然治癒力にまかせるか。

しかし、なかなか強烈な傷だ。
ブラッドベリの『刺青の男』には、
全身に刺青した男が出てきて、
その刺青がひとつずつ物語を語るという短編集だが、
この傷も何かを語ってくれそう。

あらゆる傷が、その傷のできたドラマを、
自分で語ってくれたらいいのにね。

4針縫った切り傷「あの夜のことはよく覚えてないんだ」
今村「覚えてないにしては、なかなかの怪我だね」
4針縫った切り傷「傷なんて、気がつかないうちにできるもの。
そうじゃないか? あんたにも覚えがあるだろう」
今村「ああ、まあ、そういうものかな」
4針縫った切り傷「夜風、衝撃、地球、何かが回転する音、
そして気がついたら左手が血まみれだった」
今村「地球って、なに?」
4針縫った切り傷「地球は地球さ、見えたんだ、一瞬。
この星の全体像が、頭の中にパッとひらめいた」
今村「……それは、どういうことなんだろ」
4針縫った切り傷「さあ。ともかく、気づいたら、
地球が体を受けとめていた。それ以外の記憶は曖昧なんだ」
今村「で、きみはこれから……」
4針縫った切り傷「これからのことはわからない。
ただひとつ確かなことはさ」
今村「何だ?」
4針縫った切り傷「それは……ね……」

てな感じで、ブラッドベリよろしく
傷が、意味深な物語を語り出す。
こんな話、どうだろうね。

あ、最近あちこちの本屋でブラッドベリ特集やってるけど、
どうしてかなと思っていたら、
今年、亡くなったのだそうですね、知らなかった。

復刻した文庫本もあってうれしいけど、
もっと新作を読みたかったかも。




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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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