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2019-05

クレーンのシルエット

中目黒で、大きな犬の頭を撫でた。
その優しい手ざわりを、今も覚えてる。

やっとすこし眠ったのに、
午前3時には目が覚めた。

ブラッドベリの『死ぬときはひとりぼっち』を読んで、
「死ぬときは何ぼっちだろう?」と考えて、
仕方なく缶ビールを1本あけて、
でも、すぐにあけたことを後悔して、
飲みたくもないビールをもてあまして、
でも、きっとこのビールを飲み干すんだろうなと思い、
読書する気もうせた今は午前3時25分。

昨夜は、少し高い場所でビールを飲んだ。
日曜日の東京の薄暗い夜景を見た。

高いビルのシルエットたちの間に、
どこかの工事現場のクレーンのシルエットが見えていた。

ライナー・チムニクの『クレーン男』を思い出した。
高さ49メートルのクレーンに惚れ込んで、
人生の大半をそのクレーンの上で生きた男。

高さ49メートルのクレーンの中で、
世界と向き合い、対話した男。

東京の街にニョキニョキとたっている何本かのクレーン、
その1本1本に、ひとりずつ、クレーン男がいる、

クレーンの上には、ひとりしかいられない。
たったひとり、ひとりきり。

そんなこと考えながらビール飲んだ。
誰か、クレーンの上にいる僕のために、
ビールを届けてください。

高さ49メートルのクレーンの上で、
風に吹かれながら飲むビールは、
どんな味だろうな。

やがて午前4時。

休日の朝、
黒いシルエットをさらしてるクレーンたちを思うと、
なんだか涙が出る。

今、この時間、目を覚ましているすべての人たち、
まずいビールで乾杯しようよ。









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プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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