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2019-05

「静寂」売ります

週末なのに芝居の稽古がないなんて不思議だ。
洗濯機が回る音を聞きながらコーヒー飲んでます。
ボンヤリして今日の予定を考える……
いや、考えるまでもない、溜まってる仕事を片付けろよ、俺。
週明けに締切りがいくつも重なってる。

今朝は不思議なニュースが出てました。
HV車は静かすぎて視聴障害者には危険なので、国土交通省が、
疑似エンジン音などを出す装置をつけることを義務づけた、という話。

技術の進歩のひとつのテーマは、騒音を減らし静寂を取り戻すこと。
車だって家電だって、静かなものが「よし」とされてる。
でも、それでは困る人も世の中にはいるというわけだ。
ふつうは「騒音」という言葉でひとまとめにされ、
「邪魔なもの、なければないに越したことはない」とされてるものが、
ある人々にとっては命の危険を知らせてくれる重要なものになる。
なんともまあ、文明の皮肉。

どんな音を「うるさい」と感じるのか、きっと人それぞれ。
僕は多分、騒音には無頓着なほうだと思う。

外に出ればヘッドホンで音楽を聴いてる人が大勢いて、
そういう人は「音楽が好き、聴きたい」という人もいるだろうけど、
「まわりの騒音を遮断して自分の世界に入り込みたいから」
という人もいるのかな。質問したことないからわからないけど。

僕は絶対にそういうことしないからipodとか持ってません。
外に出ればいろいろな騒音に包まれるのがひとつの「楽しみ」だから。
車の音、電車の音、工事の音、知らない人の話し声、くしゃみ、着信音、靴音……
そういうのを聞いていたい、混沌とした音の中に身を置きたい。
逆に、静寂の中に放り込まれたら、落ち着かなくなるタイプだと思う。

どっちがいいとか悪いとかの問題じゃない。
「騒音」というのはあくまでも主観的なとらえ方であり、
音の意味は、きっと人それぞれなんだろうなあと思います。

有名な話だけど、コオロギなど秋の虫の声を日本人は「美しい」と感じるけど、
欧米人は「耳ざわりな騒音」としか受け取らないとか。
「美しい音」とか「騒音」とかって、あくまでも後付けされた文化であり、
普遍的な価値観ではないのですね、きっと。

「静かであること」=「よいこと」、というのは、
案外、ごく小さな範囲での価値観でしかないのかも。

確か、心理学者岸田秀の本に書いてあったと思うけど、
ある程度発達した文明社会では、「甘い」=「おいしい」という価値観になりがちだとか。
人工的に作られる食べ物のほとんどは「甘い方向」へ動いていく傾向にあるらしい。
もちろん味覚にもいろいろなものがあり、必ずしも「甘い」=「おいしい」ではないのに、
文明社会では多くの人が「これは甘い、だからおいしい」と感じるようになっている。

音も、もしかしたら、これに似ているかもしれない。
「静かなほうがいい。音が出るのはよくない。静か、だから心地よい」
というのは、文明社会が抱いている共通の幻想のような気もします。

もしかしたら、そのうち、
街のあちこちにカラオケボックスではなくて、「静寂ボックス」みたいなものが作られ、
完璧な静寂を1時間いくらで提供する……なんて時代がくるかも。
作られる静寂、販売される静寂。

多くの文明人は、「静寂」に喜んで金を払うのではなかろうか?
誰か、こんなビジネス始めてみませんか?

……なんてことを考えてるうちに、洗濯機が止まった。

ほらね、洗濯機が止まったのがわかるのは、
洗濯機の音がしなくなったから。
音って、やっぱり大切だな。

洗濯物、干します。











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● COMMENT FORM ●

以前読んだSF短編小説でこんな話がありました。

1日中、テレビの電源が自動で入りっぱなしの時代が来て、膨大なチャンネル数からあらゆる情報が発信される時代がやってきた。
一番の視聴率を稼ぐのは…「黒く静かな画面」の番組だった。

ちょっとそれを思い出しました。
と、明日は再会の日。楽しみにしています!

●さとうさん
あ、それ、「静寂ボックス」と同じ発想ですね。
きっと間違いなく、そんなビジネスが生まれるんだろうな。
いや、自分で始めてみようかな、と、ちょっと考えました。


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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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