FC2ブログ

2019-02

デッサンと木星

今朝も稽古の前にフジファブリックの『若者のすべて』。
外に出ると肩をすくめずにはいられないほど寒いのに、
夏の盛りを過ぎた頃の午後を歌ってる。

小屋入りの日には、もうコートなんか着てなくて、
温かい空気の中を自転車漕いでるんだろうか。

季節がひとつ変化する間の稽古期間です。

今回は夏休みの高校が舞台。
ある1日を切り取って、
教師たちと生徒たちを追いかけます。

夏休みの学校は静かです。
高校3年のとき、美術大学を目指していたぼくは、
夏休みも毎日学校に行き、
美術室で石膏デッサンをしていました。

「デッサンの勉強するため」というのは言い訳の半分で、
理由の残り半分は家にいたくなかったから。

どうしてあんなに家がイヤだったんだろう。
今はもう覚えていない。

たぶん、ふつうの大学を受験させたがった親の顔を見ないで、
学校でひとりデッサンをしていたかったのだと思う。
たぶん、だけど。
言うまでもなく、親は、美大受験に猛反対してました。

腹が減ると、木炭を消すために買った食パンを食べ、
退屈すると、グランドの体育会系クラブを眺めてました。

そして聞こえてくるのは、器楽部の練習。
秋になるとコンクールがあったみたいで、
夏休みは1日中ホルストの『ジュピター』を演奏していた。

美術室は2階、音楽室はその真上の3階。
いつも同じところで中断されて、
先生が何か指示してる声が断片的に聞こえてきた。

夏休みの美術室の記憶には、だから、
いつも必ず『ジュピター』が流れます。

夏休みが終わって2学期が始まると、
市内にたったひとつだけあった美術科の高校に行き、
初対面の先生にデッサンを見てもらった。

いろいろ指導してくれる先生の顔を見ながら、
「ああ、僕には美大は無理なんだな」と思ったのを覚えてます。

案の定、受験はダメでしたが、
『ジュピター』はコンクールで何かの賞をとり、
朝礼で表彰されていました。

今思えば、高3の夏休みは、
目指していた美大進学への、
長い長い挫折の時間でした。

ゆっくりゆっくりと自分の実力の無さを実感していきながら、
でもデッサンをやめることなく、
ただ夢中になって木炭を動かしていた。

なんだか、夢のような40日間だったな。

『若者のすべて』の歌詞の一部。
「真夏のピークが去った
天気予報士がテレビで言ってた」

人それぞれの夏休み、
人それぞれの真夏のピーク。

ちょっと切ない気持の稽古場です。










スポンサーサイト

● COMMENT FORM ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://theaternautilus.blog99.fc2.com/tb.php/909-e1458b16
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

NEW ENTRY «  | BLOG TOP |  » OLD ENTRY

プロフィール

TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
web.fc2.com/index.html

最新記事

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

最新コメント

最新トラックバック

検索フォーム

RSSリンクの表示