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2019-02

謎めく童話

僕が10歳の頃まで住んでいた家は、
かつて大きな料亭だった建物で、部屋数が多かった。
なのに、なぜか家族は庭の見える広い座敷で
みんなで寝るのが習慣でした。

そしてもうひとつの習慣は、
寝る前に必ず母親か父親が本を読んでくれること。

いろいろな本があったけど、
とくにお気に入りなのがグリム童話集です。

よくリクエストしていたのは、
「ラプンツエル」や「わらと炭とそらまめ」「歌う骨」、
あと「ヨリンデとヨリンゲル」も覚えています。

グリム童話集は僕が最初に出会った「物語」です。

そんな中にひとつ、ちょっと不思議な印象だったのが
「ヘンゼルとグレーテル」。

ほかの話は、子供心にも話のポイントらしきものがわかるけど、
「ヘンゼルとグレーテル」だけは、なんだかピンとこない。

子供たちは捨てられるとわかっていて、
なぜ素直に森の中に入っていくのだろう?
なぜ森の魔女はお菓子の家なんかに住んでいるのだろう?
なぜグレーテルは、いきなり魔女を殺してしまうほど
パワフルになったのだろう?

……なんて疑問がわいてきて、
どうもヘンな話だなあと思っていた。

おとなになって、アーサー・ラッカムの挿絵の付いた、
きれいな『グリム童話』を買ったのだけど、
そこに描かれたヘンゼルとグレーテルは、
本当にいたいけな無力そうな幼児でした。

こんな女の子が恐ろしい魔女を相手に……?

そんないくつかの「?」が、
かえってこの物語へのこだわりを植え付けたようです。

9月公演は「ヘンゼルとグレーテル」がモチーフ。

あれこれ考えながら、
家族で寝ていた広い座敷や、
廊下ごしに見えた大きな庭のことを思い出します。

(関係ないけど、あの大きくて古い家は、
谷崎潤一郎の『陰影礼賛』そのものの住居だったな。
いや、家としては今にも壊れそうなほどオンボロだったけど)

子供時代の記憶をさまよいながら、
新しい脚本のことを考えています。




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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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