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2019-09

暴力的(?)な風景論

ヴィクトリオ・デ・シーカの『自転車泥棒』はいい映画だけど、
実際に自転車を盗まれると悲しいもんです。

生まれて初めて自転車を盗まれて(年末に買った、水色のお気に入り)、
で、生まれて初めて自転車の盗難届を出しに交番へ。

しかし交番はなぜか混んでて順番待ち。
仕方なくとなりの本屋に入り、気まぐれに買った本が面白かった。

新潮選書の『暴力的風景論』、
いろいろな事件を起こした人が幼い頃から見ていた「風景」、
ある出来事が起こった、その場所の「風景」、
ともかく「風景」をキーワードにして人間を探る。

麻原彰晃が見て育った八代の駅前の風景は、
僕もなんとなく覚えている、無機的な工場の街。

宮崎勤の生活圏にあった国道16号線は、
高村薫が小説に描き、松任谷由実は歌にした。

数年前の秋葉原無差別殺人の犯人が、
秋葉原という街を選んだ理由は何だったのか、
僕もちょっと不思議だったけど、ひとつの理由が書かれている。
もちろん、推測だろうけど、「なるほど」と思った。

犯罪者や何か問題を起こした人を、
いろいろな考え方で解読するのはとても大事なことだけど、
前から思ってた、誰であれ、一番大きく影響を受けるのは、
その人が、日常的にいつも見ていた風景、
目の前を過ぎていく、日々の風景、
それに、いつも出会う人、いつも聞く声、いつも聞く言葉、
いつも嗅ぐ匂い、いつも味わう味……などなど。

目の奥や、耳の奥にしみついた、
その人にとっての「ありきたりな日常」こそが、
その人を創り上げていくものなんだろうな。

そう思って、自分の目の前の風景を、
あらためて眺めてみたり、
聞こえてくる声に、耳を澄ましてみたり。

たとえば、とても好きな人ができたとき、
その人が小さい頃に住んでいた場所や、
その人が通った学校や、帰り道に寄ったお店や、
よく遊んだ場所なんかを見てみたくなる。

その気持ちは、きっと、
その人の「今」を本当に知るための手がかりが、
そんなところにあるのだと、本能的に知ってるからじゃないか。

……なんてことも思いました。






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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
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