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2019-02

モノクローム

病院仕事の合間にもゴースト本の資料を読まなければ
原稿が追いつかないような慌ただしさ。
あー、なんか、この感覚が懐かしいけどね。

なんでもいいから息抜きがしたくて、電車の中では
武田泰淳の『目まいのする散歩』を読んでます。

この随筆集を読むたびに、
文章というのも遺伝するんだろうか?と思うのは、
娘の武田花が書く文章と、味わいが似てるから。

でも、遺伝なんて言葉を持ち出さなくても、
幼い頃から父親の文章は身近に読んで育っただろうから、
自然と似てくるのは、まあ、当たり前か。

『目まいのする散歩』は、まさに散歩について書かれてます。
昭和の東京のいろいろな場所の風景が、
ちまちまとした味わい深い文章で描写されてる。

三軒茶屋とか中目黒とか大橋とか、
なじみの地名が出てくると、やっぱりうれしい。

終戦後から昭和40年頃?の描写なのだけど、
三軒茶屋に行くために玉電の三宿の駅を降りる、なんて文章を読むと、
今はなじみ深い三宿交差点あたりの風景が、
なんだか古い絵葉書みたいな景色に一変する。

三軒茶屋の街並みが、今とはまあったく違うんだよなあ。
当たり前だけど、店の並びぐあいとか。
あと、ほら、荻窪駅周辺の描写も懐かしい。
あのへん、住んでたことがあるので。

街だけじゃない、奥さんの武田百合子のことを書いた描写なんか、
しみじみとした昭和の夫婦の、控え目な愛情を感じて、
しんみりしてしまいます。

でも、それにもまして印象的なのは、
何か所かに出てくる三島由紀夫。
あんな壮絶な死に方をした三島由紀夫に対して、
特別な感情を語るでもなく、責めるでもなく誉めるでもなく、
ただ、淡々と語る、おだやかな筆。

何の目的もなく、ただ何となく古い写真や映像を見るというのは、
なんか、ふうっと力が抜けるみたいに落ち着くものだけど、
この随筆集も、そんな感じ。

そうそう、久しぶりに武田花の文章も
読みたくなりました。





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TheaterNautilus

Author:TheaterNautilus
シアターノーチラス代表・今村幸市によるブログです。
年に2~3回、オリジナルの脚本による芝居を上演しています。
次回公演は2018年10月です。
http://theaternautilus.
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